体重は64キロ「投げたらすぐ痩せる」 大津亮介の苦悩を救った愛妻の献身…心を救った食卓

ソフトバンク・大津亮介【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・大津亮介【写真:荒川祐史】

単独インタビュー第2弾…家族への感謝を包み隠さずに語った

 鷹フルは、大津亮介投手の単独インタビューを行いました。3日連載の第2回、テーマは「家族の存在」です。先発投手として1年間を過ごした2024年。「本当にすごい」と心から感謝したのが、食事面でのサポートでした。今季7勝を挙げ、爪痕を残すことができたのは、愛妻の支えがあったからです。

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 契約更改は、野球選手にとっても決意を新たにするタイミング。年に1度の公の場で、シーズンの振り返りや、燃ゆる思いを口にする選手もいる。大津は1年目を終えた2023年オフ、契約更改で結婚していたことを公表。「また良い成績を残して、家族と球団に良かったねと言われるように頑張りたいと思います」と意気込みを語っていた。

 2024年は19試合に登板して7勝7敗、防御率2.87。開幕ローテーションに入り、前半戦からチームの勝利に貢献した。2500万円アップの5500万円でサインをし「個人的には悔しい結果で終わってしまった。来年は絶対に2桁勝利をしたいです」と、まだまだ満足はしていない。結婚公表から1年が経ち「1人では戦い抜けなかった。影ながら、食事面でもサポートしてもらったので。本当に感謝しています」と、深々と頭を下げた。

 公称では175センチ、64キロ。球界でも最軽量の右腕は「本当に痩せやすいんです」と苦笑いする。前半戦で6勝を挙げたものの、後半戦は1勝のみにとどまった。要因は疲労で「先発は(登板ごとに)6日間、あるので。疲れも抜けるだろうと思っていたんですけど、中盤から夏場にかけてスピードも思ったより出ない時期がありました」と振り返る。だからこそ、愛妻の支えには感謝しかなかった。

「ご飯の大切さを思い知りました。社会人の時も、投げたらすぐに痩せるし。中継ぎだった去年も体重が、めっちゃは落ちていないですけど、落ちました。今年は初めてフラットにキープできましたし、それはもちろん奥さんのご飯があってこそ、です」

 スポーツ選手の健康管理や、体力向上に最適な食事提供ができる人に与えられる「スポーツフードアドバイザー」という資格も、愛妻は取得した。昨年10月には第1子が誕生。「子どもが0歳の時に、シーズン中だったので。ご飯を作るのも大変だったと思います。片手で抱っこしながら、片手で料理を作ってくれていましたし、子どもが寝て、僕が夜に帰ってきてから作ってくれたりした」。自分自身もマウンドで腕を振ったが、愛妻もまた、家族をしっかりと守ってくれていた。

 1度の食事でも「(お皿の数は)めっちゃ並びます。多いなって思っちゃいます」と笑ってしまうほど。品数を問われると、指を折って数える大津。「ご飯、メイン、味噌汁……。めっちゃ多いです!」と途中で数えることをやめてしまうほどの量が食卓には並ぶ。

 今月10日からは、ハワイへの優勝旅行に出かけた。印象的だったのは買い物で「お母さんと妹には買ってあげましたし。親父は来られなかったので、買えなかった。福岡で一緒に買いに行こうって連絡しました」と、家族孝行をしたい気持ちは常に抱いている。

 帰国後に大津は「次の日から焦って練習しています」と明かしていた。来年1月は、オリックスの山岡泰輔投手とともに沖縄での自主トレを行う。「ハワイから戻ってからも(妻は)『トレーニングも好きなタイミングで行ってね』って言ってくれます。自主トレも『沖縄に行くから』みたいな感じで伝えたんですけど、本当にいつも前向きに考えてくれます」。家族との時間を過ごしたい一方で、プロ野球選手にとっては来シーズンに向かう大切な時期。快く送り出してくれるからこそ、必ず結果で応えたいという気持ちが強くなる。

「ハワイでリフレッシュはさせてもらった。あとは決められた時間でみんなスタートするので、そこに向けて焦ってやっています。特に先発陣が(練習にも)来ている。ライバルなので負けていられないと思いますし、しっかりしないといけないです。気を引き締めて、今以上にやってやろうという気持ちです」

 愛妻の存在を「僕がどれだけストレスだとか、悔しい思いをしているのか、1番知っていると思います」と表現した。2024年、7勝を挙げたものの味わった悔しさは深く胸に刻まれた。2025年こそ笑ってシーズンを終え、家族との幸せなオフを過ごしたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)