川瀬の左手に真新しい腕時計「晃さんにいただきました」
高級寿司を前にして、思わず固まった。「嘘やろ?」。驚きの表情を浮かべたのは川瀬晃内野手。黒い袋に包まれていたのは、先輩からの“粋なプレゼント”だった。
20日に契約更改を終えた川瀬は、ビシッと決めたスーツにピンクのネクタイを合わせたコーディネートで会見場に現れた。そんな中でひときわ目立ったのは、左手にはめられた真新しい腕時計だった。
「これは晃さんにいただいたんです」。重厚感あふれるRolex(ロレックス)の時計。贈り主は中村晃外野手だった。今シーズンを戦い抜いた2人による“プレゼント交換会”だったはずが、待っていたのは“まさかの展開”。川瀬がその舞台裏を明かした。
今季、2人の間でひそかに“勝負”が行われていた。「ヒット数と打率でやっていて。ヒット数は負けたんですけど、打率は勝ったので『じゃあ、お互いにプレゼント交換会をしよう』ってなって……。でも、こんなんがくると思わないじゃないですか。こんな高級な時計を貰えると思っていなくて。僕は靴とニットと……、もちろんそれなりのものを買ったんですけど、上回ってこられて。ビックリしました」。
寿司店で行われた“交換会”。中村晃から手渡されたのはgelato pique(ジェラートピケ)の袋だったという。「パジャマを貰えるのかなと思っていたんですけど……」。その想像は見事に裏切られた。「ジェラピケから黒い袋が出てきて。『ジェラピケから出てこんくない?』と思っていたら、なんか固いものが……。『嘘やろ?』って」
あまりの展開に「いいところのお寿司を晃さんにご馳走していただいたんですけど、喉を通らなかったです。衝撃的やったっすね」。中村晃には「いいんですか?」「マジですか?」と何度も聞いたという。
ベテランの粋すぎる心遣いが嬉しかった。「来年もう1回勝負したいですね。次は2つ勝って、さらなる時計を……」と冗談っぽく笑った川瀬だが、中村晃の姿にあるべき姿を見つけた。
「僕も晃さんにこういったものを贈れるような選手になりたいですね。晃さんだけじゃなくて、後輩だったりとか……。ああいう先輩でありたいなっていうのを改めて思いました」
1年間チームの勝利だけを目指して必死に戦ってきた2人だからこそ楽しめる、つかの間の休息。来季はさらにハイレベルな勝負を繰り広げてみせる。