鷹フルはソフトバンク、ヤクルトでプレーした嘉弥真新也投手の単独インタビューを行いました。3日連続公開の第2弾、テーマは「2人のクローザー」。嘉弥真投手の一人称目線で語っていきます。名前が挙がったのはもちろん、デニス・サファテ氏と、現DeNAの森唯斗投手。通算472試合登板の左腕が現役引退を決断し、2人に連絡をしました。温かすぎるメッセージが——。「本当におめでとう!」。
ホークスでは12年間、プレーをしました。2年目に結構投げました(2013年に40試合登板)けど、そこから成績は下がっていきました。サイドスローに変えてここまできたので本当によかったですし、いろんな先輩たちにも会えたので、いい期間になりました。日本一にもなって、日本代表に選ばれて世界一にもなった。最高の経験ができた12年間でした。
ブルペンという“空間”は、やはり少し特別です。どうやろう、家族よりも長い時間、一緒にいますもんね。試合に集中する場所なので、楽しいとは言えないですけど。表現するなら、リビングみたいなものですね。バっと締めるところは締めて。言い方おかしいですか?(笑) 常に緊張感はあってドキドキはしているんで。緊張しすぎても疲れるし、落ち着くところにもしたかったです。若い子とかはやっぱり固くなりますから。
サファテは、お兄ちゃんみたいな存在でした。僕らが打たれても励ましてくれるし「新しい1日だから頑張れ」って。常にポジティブな言葉をかけてくれました。あとは、勝手に僕の部屋にきてお風呂に入っていたこともありましたね。2018年、股関節の怪我で長期離脱した時の気持ちは、今でも覚えています。本当に、“家”がなくなるような感じです。それくらいサファテの存在っていうのは大きかったですし、僕も現役生活を終えましたが、今思っても一番のクローザーは彼だと思いますね。
引退を決めて、ちょうど(12月中旬に)ビデオメッセージが来たんです。タカさん(山田雄大チーフ通訳)を通じて僕に届いたんですけど、全部英語で分からなかったので、訳してもらいました。
「引退おめでとう。望んだ終わり方ではなかったかもしれないけど、素晴らしいキャリアだったね。チームメートの人もそうだし、森や翔(岩嵜)とご飯を食べたりお酒を飲んだことはとても楽しかった。いいフレンドシップをありがとう。家族との時間を楽しんで。本当に引退おめでとう」
もう1人、特別な存在が森です。ずっと一緒にブルペンにいましたし、過ごした時間はとても多いです。刺激というか。すごかったので、追いつこう追いつこうという感じでやってきました。岩嵜もそうですけど、僕にとっては追いかけていた人です。すごく球が速いし、実力があるからそれに負けないようにと思ってやっていました。
あまり野球の話はしないんですけど、投手で決めることがあった時は森が仕切っていたんです。その(年齢的に)上が僕だったんですけど。「これでいいですか」って僕に相談してから、後輩に話すようにしていました。僕にお伺いを立てて(笑)。ブルペンにおけるルールとかもそうですし、投手会の話とか。こうやろうと思っているんですけど、どうですかって。僕も「もうちょっとこうしたらいいんじゃない」っていうのは言っていました。色々と、2人でその話をするのはありましたね。
関係性は、バチバチしたものではないですよ。後輩ですけど友達みたいな感じです。カヤマだから、僕のこと「ゆうぞう」って呼んでくるし(笑)。ゴルフはライバルですね、森はめちゃくちゃ上手いので。あとはもう友達みたいな感じです。怒ることもないし。2人で高め合いながらやってきました。打たれて、慰めて、バカにしたりして、そんな関係ですね。
森のすごさと言えば、何より気持ちが強いことです。キャリアが終わってもそう思います。僕とか森は試合で「投げたい投げたい」ってタイプだったんですよ。若い子は、って言えばおかしいんですけど、失敗したくないって子が多かったんで。森のそういうところはいいなと思っていました。日本シリーズとかCSとか、緊張するところで投げたくないじゃないですか。でも僕らは投げたいと思っていましたし、そういう選手がもっと出てきてほしいとは思っていました。
森にも現役を「終わりにする」っていう連絡はしました。「マジですか。福岡でまた飯行きましょう」みたいな。やり取りをしたのは、それくらいです。一緒にゴルフも行きました。ブルペンで言えば岩嵜との思い出も深いので、それはまた次回、お話させてください。いやー、でも岩嵜より先に辞めるとは思わなかったんです(笑)。もちろん彼にも、思う存分頑張ってほしいです。