鷹フルでは前ソフトバンクで、現在は中日でプレーする上林誠知外野手に単独インタビューを行いました。3日連続公開の最終回、テーマは「元チームメートの存在」です。2024年にリーグ優勝を掴んだホークス。名古屋から戦いぶりを見守った中で、印象的だった“再会”を振り返ります。「最近どう?」――。柳田悠岐外野手、中村晃外野手、周東佑京内野手……。多くの名前が挙がりました。
今季、ホークスは4年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた。上林も「常にそういうチームであってほしいという気持ちで見ていました。日本シリーズでやって、勝ちたいですよね」と語る。かつて一緒にプレーしたチームメートたちが、それぞれの役割を果たして掴んだ頂点。気になっていた存在は「みんなですよ、やってきたメンバーは」。思わず照れ笑いした。
「ギーさん(柳田)と晃(中村)さんは一緒に(外野を)守っていた人なので、もちろん思い入れは強いです。だいぶベテランになってきましたけど、まだまだ頑張ってほしいという気持ちで見ています。筑後に行った時に2人がいたので、ロッカーまで行って話もしましたけど。晃さんも今年から大変なポジションをやられていますけど、時代を感じますよね」
8月にタマスタ筑後で行われたソフトバンクと中日のウエスタン・リーグ3連戦。柳田と中村晃がともにリハビリ組で調整していたこともあり、自ら挨拶に向かった。「『最近どう?』みたいな話ですね。ギーさんも晃さんもリハビリ中でしたけど、表情は明るかったです。自分がただ顔を見たかっただけです。あとは和田(毅)さんとも話はしました。試合前であまり時間もなかったんですけど……」。今もホークスナインの胸に上林がいるから、喜んで再会の握手を交わしてくれた。
上林の口からは、まだまだチームメートの名前が挙がった。
「健太さん(今宮)は見ていてリーダーシップを感じました。CS、日本シリーズも頼もしかったし、そういう姿を見ると嬉しいですね」。正遊撃手として、チームリーダーとしてもナインを牽引し、日本シリーズでは敢闘賞も受賞した今宮の活躍ぶりに笑みを浮かべた。
自身とともに大けがを負った後輩の姿も気になっていた。2022年3月30日のロッテ戦(ZOZOマリン)。外野守備で上林と交錯し、左膝の前十字靭帯を断裂した栗原陵矢内野手だ。選手生命を脅かすほどのアクシデントを乗り越え、今季は3年ぶりとなる20本塁打を記録。「陵矢もちゃんと復活しているので。自分もちゃんと復活しないといけないと思いましたね」。中心選手として優勝に貢献した姿から、大きな刺激をもらっていた。
上林が最後に口にしたのは“盟友”の名前だった。「そこまで一緒にいた記憶はないんですけどね。同級生ですから、特別な思いはありますよ」と語るのが、周東だった。「佑京は選手会長になって優勝して、怪我がある中でもタイトルを獲って貢献していたので。同級生として嬉しいし、刺激になります」。
2023年オフ、高橋礼投手や泉圭輔投手、笠谷俊介投手らと席を囲んだ食事会。上林が幹事を務めた。「(周東とは)最後、お別れ会みたいなのをした時、その印象が強いですね」。普段はほとんどお酒を飲まないが、「佑京に飲まされたんですよ」と、お互いに顔を真っ赤にして語り合ったのは大切な思い出だ。
周東は今季、選手会長に就任し、41盗塁で自身3度目のタイトルを獲得した。日本シリーズを戦い終えると、11月9日には「左膝蓋靭帯に対する超音波腱剥離術」を受けた。「怪我をしながらやると変な癖もつくし、よくない影響が残るんですけど。特に佑京の場合は走らないといけない選手だから、それを抱えながらの盗塁王はすごいですよね」。右アキレス腱断裂という大怪我を経験したからこそ、盟友が掴んだタイトルの“価値”がよくわかる。
久々に会えば、かつての記憶がよみがえる。「やっぱり仲間なので」。上林にとって一緒に勝利を目指したホークス時代の日々は宝物だ。2025年は、中日で迎える2年目のシーズン。「10年もいれば、そりゃ(ホークスを)好きになりますよ。ただ、自分もこのままじゃ終われないので。このまま終わる男ではないです。ちゃんと復活しますよ」。もう1度、ファンにとって“憧れ”の存在になれるように。期待を背負い、名古屋の地で復活を誓う。