1億円減の柳田悠岐「笹川に負けないように」 レギュラー“当確”も危機感「競争から始まる」

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:飯田航平】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:飯田航平】

大幅減の年俸4億7000万円で契約更改「しょうがないかなという気持ち」

 大幅減俸にも潔く白旗を上げた。「しょうがないかなという気持ちです」。ソフトバンクの柳田悠岐外野手が5日、1億円ダウンの年俸4億7000万円プラス出来高払いで来季の契約にサインした。(金額は推定)

 7年契約の5年目となった今季、5月末に右太もも裏を痛めた影響で約4か月の離脱を余儀なくされた。最終的には52試合の出場で打率.286、4本塁打、35打点と不本意な成績に終わり、球団との交渉では「すみませんでした」と“謝罪”した。

 小久保裕紀監督は来季のレギュラーについて「当確者は普通に考えて、柳田、山川(穂高内野手)、近藤(健介外野手)」と明言。厚い信頼は変わらないが、柳田の受け止めは違った。あくまで真剣な表情を浮かべ、「レギュラーとして出続けることが目標です」ときっぱり。来季は37歳を迎えるホークスの“大黒柱”が抱く覚悟とは——。

「また一から、選手としてレギュラーでやれるように。来シーズンに活躍することだけを考えてやります」。そう語る顔つきは、定位置争いに必死で挑む若手選手のようだった。プロ14年間で通算打率.312、1595安打、264本塁打。堂々たる数字を残している男は、おちゃらけるそぶりもなく言い切った。

 自身の離脱中もチームは首位の座を譲ることなく、リーグ優勝に向けて突き進んだ。「凄く仲間を頼もしく感じていましたし、1人のファンとして応援していました」。リハビリの励みになった一方で、当然もどかしさもあった。「何もできなかったですし、不甲斐ない形でシーズンが終わってしまったので。残念な1年でした」。

 今季、目を奪われたプレーヤーがいた。自主トレをともにする笹川吉康外野手だった。長身のシルエットに豪快なスイングもうりふたつで、「ギータ2世」と大きな期待をかけられる22歳。柳田は「若手の活躍をどう見るか」との質問にあえて名前を挙げると、こう続けた。

「特に笹川とか、すごくいいものを持っていると思うので。あいつに負けないようにやっていれば、僕もいい選手になれるかなと思っています」

 一見、いつもの“ギータ節”のようにも思える発言だが、その表情は真面目そのものだった。「今年の数字はレギュラーではないので。来シーズンは競争から始まると思うし、負けずにやりたいなと」。指揮官からレギュラー当確を与えられながらも、あくまで“挑戦者”としてのスタンスを貫いた。

 近藤や山川といったタイトルホルダーを誇るホークスだが、戦力的にも精神的支柱としても中心にいるのは柳田であることは間違いない。今季はわずかに届かなかった頂点をつかむため、ギータは一からスタートする。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)