ヘルナンデス、2年契約の裏側 MLB復帰も選択肢に…最後まで悩んだ他球団の“オファー”

ソフトバンクのダーウィンゾン・ヘルナンデス【写真:竹村岳】
ソフトバンクのダーウィンゾン・ヘルナンデス【写真:竹村岳】

新たに2年契約を発表…ヘルナンデスが明かした“感謝”

 ソフトバンクは29日、ダーウィンゾン・ヘルナンデス投手と新たに2年契約を結んだことを発表した。球団を通じて「ソフトバンクホークスに感謝の気持ちでいっぱいです。また2年間、ファンの皆さんと一緒に優勝を目指して頑張ります。また来シーズンお会いしましょう」とコメントした。そんな左腕は11月4日に離日する前、鷹フルのインタビューに応じ、契約に関する真意を明かしていた。他にもあった“オファー”とは――。

 来日2年目の今季は48試合に登板して3勝3敗3セーブ、21ホールド、防御率2.25と好成績をマークした。48イニングを投げて72三振を奪い、奪三振率は驚異の13.50を記録。ダイナミックなフォームと力強い直球で相手を圧倒した。リーグ優勝を決めた9月23日のオリックス戦(京セラドーム)では、9回を無失点に抑えて“胴上げ投手”にもなった。

 来年2月の春季キャンプに向け、小久保裕紀監督は「S班」を設けることを明言している。柳田悠岐外野手、有原航平投手ら、野手と投手で5人ずつ。そこには、ヘルナンデスの名前も挙げられていた。首脳陣も大きな信頼を寄せる存在になった左腕。なぜ新たに2年契約を結ぶことになったのか。

「(ホークスは)すごく居心地がいいなと思いました。家のように感じることができた。チームメートも『勝っていこう』という気持ちがあるし、スタッフ、監督、コーチにもすごく良くしてもらった。あと、自分が大事にしているのはフィーリングです。自分が感じていることと、チームが感じていることが同じなので。それが一番、契約を延長した理由かなと思います」

 勝利を義務付けられた空気感にしっかりと溶け込んでいたから、もっとここにいたくなった。日本にやってきたのは2023年7月。「このチームは規律がありますから、みんながしっかりしていて、全体で取り組んでいることもある」とホークスの雰囲気を語る。来年は29歳になるシーズン。自らのキャリアを踏まえ、「今年やってきたことを継続していきたいですし、まずは35歳くらいまでを見据えてプレーしていきたいです」と意気込んだ。

 シーズン中から常に、必死に結果を残そうとしていた。欠かせない存在としてリーグ優勝に貢献したことが、新たに2年契約へと繋がったのは間違いない。「いい1年を過ごせたと思うし、今年の成績というのは自分にとっても意味のあるものになりました」。口数こそ多くないが、ヘルナンデスにとっても今季の成績は「ここでやっていける」と、手応えを掴むものになった。

 年俸は2年総額5億円規模と見られる。契約についてこだわった部分は「実は、年数は3年を希望していた。2年にはなりましたけど、お金よりも、ここで自分のキャリアを積んでいきたいと思っていました。年数というところが一番大事だと思っていました」と話した。メジャーリーグ復帰も含め、「いろんなオファーがあって、向こうに帰りたい気持ちもありました」。ホークスで2年間プレーすることを決めた今だからこそ、多くの選択肢があったことも認めた。

 すでに妻子もいる左腕。福岡での生活を「相当気に入りました。チームメートも愛情のある人ばかりで、家族も『帰りたくない』と言ったこともありました」と笑顔で頷く。町を歩いていても、ファンから声をかけられることは多くなった。「新しい記録も作っていきたいし、(ホークスファンに)すごい投手だと思ってもらえるように、人間的にも成長していきたいです」と、支えてくれる人の存在をモチベーションに変えてきた。これから2年、ホークスのためだけに貢献したい。

「まずは変わらずに応援していただけたら。これから何が起きるのかわからないですけど、ひとまず今年は勝つことができた。来年も優勝したいですし、ファンの方々も自分に良くしてくれて嬉しかったです。もっと喜んでもらえるように頑張ります」と、ファンへのメッセージを語った。2025年、チームはパ・リーグ連覇と日本一を目指す。その中心に喜ぶヘルナンデスがきっといる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)