3000万円から600万円ダウン…「悔しいですけど僕自身も納得しています」
現状を、包み隠さずに明かした。左肩は「完璧」ではなかった。ソフトバンクの田浦文丸投手が27日、みずほPayPayドームで契約更改交渉に臨み、600万円ダウンの2400万円でサインした。「悔しいですけど、今年は1軍登板が少なかった。僕自身も納得しています」とハンコを押した。1軍に初昇格したのが、8月27日。当時の“舞台裏”を語った。(金額は推定)
2017年ドラフト5位で入団し、2023年には45試合に登板。同年オフの契約更改では2040万円アップの3000万円でサインし、今季は飛躍のシーズンにするはずだった。左肩痛で1月にリハビリ組となると、思うように状態を上げられない日々。結果的に、1軍では4試合登板に終わった。「まだ肩のコンディションが完璧とは言えない。そこをしっかりと詰めていく中で、体も強くしていきたい」と現状を受け止めている。
ウエスタン・リーグでは10試合に登板して1勝0敗1セーブ、防御率2.57。待望の初昇格は、8月27日だった。実は当時、左肩の不安はまだ拭えずにいたという。
「自分の中では、多少は(不安が)ありました。球速は上がっていたので、そこは自分でも焦りがあったんだと思います」
2軍でも結果が出るようになってきた。スピードに表れていたのは、自分の「焦り」そのものだったと、今なら冷静に振り返ることができる。シーズンが終わった今もリハビリ組の管轄。「(秋季)キャンプが始まってから、あまり投げないようにしています」と、キャッチボールから球数を管理している。出力を上げていくというよりも、まだまだフィジカルを立ち上げていく段階だ。状態についても「上がったり、下がったり……。回復はしているんですけど、投げている中で力みがあります」と続けて説明した。
春先のリハビリ期間中、痛みに耐えられず左肩に注射を打ったこともある。2024年の全てが終わった今、振り返っても「学んだこともありますけど、苦しかった部分の方が大きいです」と素直に認める。辛かったからこそ、コーチ陣やトレーナー、周囲の方々が「背中を押してくれる感じはすごくありました」と支えてくれた。
日本一は逃したものの、チームはリーグ優勝。頂点に向かって進む戦いを、ファームから眺め続けた。試合の様子は「見たくても、見たくない気持ちがありました。見てしまったら焦ると思いましたし、無理矢理見ないようにしている時期もありました」。視線がテレビに向きそうになっても、自ら目を背けていた。2025年、目標に掲げたのは50試合登板。「不安要素をなくして、開幕に食い込んでいけたら」ともう1度、自分自身と向き合っていくつもりだ。
「悔しかったし、苦しかったシーズンでした」。1月の自主トレについても、今後の回復次第になる。晴れ舞台のマウンドに戻るために、2024年に味わった気持ちを絶対に忘れない。
(竹村岳 / Gaku Takemura)