ソフトバンクのドラフト6位ルーキー、大山凌投手が結婚していたことが分かった。お相手は同級生の一般女性。鷹フルは単独インタビューを行い、右腕に馴れ初めなどを聞いた。「明るくて面白いですよ。でも、ちょっと人見知りなところもありますね」。どこか少し照れくさそうな表情を浮かべつつ、喜びを口にした。
東日本国際大の在学中、妹の知人を通して2人は出会った。「単純に似ている部分が多くて。一緒にいて落ち着くし、楽しいですね」。互いに飾ることなく接することができる。そんな雰囲気に惹かれていった。「マイペースで、自分の世界がちょっと強そうな感じが自分と似ている」と、思わず笑みをこぼした。
一番の思い出は東京旅行だ。「去年のクリスマスに初めて2人で東京に行って。ディズニーとかは行かずに、街の中をぶらぶらして。一緒にいた時間が長かったので、楽しかったです」。今年1月から始まった新人合同自主トレ。本格的にプロの世界へと飛び立つ前に過ごした時間はかけがえのないものだ。
大学を卒業してからは福岡と東北での遠距離恋愛。交際中から将来を考えていた大山にとって、「覚悟」を決めるまでに時間はかからなかった。「俺は将来的に結婚したいと思っているけど、よかったら後々、福岡に来てほしい」。真っすぐに思いを伝えた。「じゃあ福岡に行こうか」。まさかの二つ返事をもらった。もう少し先のことだと思っていた大山にとって、すぐに引っ越すことを決めた妻の行動力には驚かされたという。
「『ちょっと待って。結構遠いし、ましてや1人で来るとなったら色々大変になるよ』って言ったら、『それは仕方ないから』って。自分的にはすごく覚悟を決めて言ったつもりだったんですけど、向こうもそういう感じでいたらしいので」
妻にとっては無縁だった九州。知り合いもおらず、頼りになるのは大山だけだった。大変なこともきっとあるに違いない――。それでも互いの気持ちは変わらなかった。妻が福岡に引っ越してきた春先。イタリアンレストランに行き、入籍する意思を確認しあった。
「お互いの両親に『2人は結婚したいと思っているんだけど』って言いました。自分たちの気持ちを優先してくれて、『それなりに大変になるから、ちゃんとそういう覚悟を持っているなら応援するよ』と言ってもらいました」。一生を添い遂げることを決めた2人を暖かく見守ってくれているという。
入籍日にはこだわりがあった。「7月29日ですね。大天赦日で、1年ですごく総運がいい日があったので、そこにしました」。大山がプロ初勝利を挙げたのが8月15日の西武戦だった。「結婚した年に初勝利を挙げることができたのはよかったんじゃないですかね。ちょっとしたプレゼントみたいな感じで」。恥ずかしそうに話すと同時に、妻や妻の家族を安心させられたことに安堵の表情を浮かべた。
「(妻は)結構試合を見てくれていて。投げる回数は多くなかったですけど、抑えたら一緒に喜んでくれますし、打たれたり、うまくいかなかったりした日でもいつもと変わらず接してくれるので。気持ちの切り替えもしやすかったことは結構あります」。家に帰っても1人ではないこと、自身の活躍を誰よりも願ってくれる存在がすぐそばにいることが大山を強くした。
しっかりとしたプロポーズをしていないという右腕には、密かに計画している“プラン”があるという。「婚約指輪をまだ買っていないんですよ。なので奥さんには内緒で、改めてもう1回ちゃんと(プロポーズを)したいなっていうのは思っています。それは奥さんにも言っています。いつになるかは内緒というか、言わないですけど」。婚約指輪とともに、思い出に残るものをプレゼントする考えだ。“男として”の気持ちもそこにはある。
公私において大きな変化のある1年目を終えた。それでも、来季はこれまで以上の気持ちで向かっていく意気込みを見せている。来年2月には家族が増える予定になっているからだ。「本当に今までにないぐらいの覚悟と気合で、1年間活躍するしかないです。自分が活躍しているところ見せるのが一番いいと思っています」。父親として迎える2年目。大切な家族の思いを力に、来季の活躍を誓った。