巨人の高橋礼&泉圭輔…チームメートの又吉克樹へ「楽しい思い出ばかり」
ソフトバンクから戦力外通告を受けた中村亮太投手が、鷹フルの単独インタビューに応じました。4年間でお世話になった先輩たちを「お兄ちゃん」と表現する右腕。忘れられない思い出は、無言で置かれていたシャンパンと、2つのグラブ。大きな“愛情”を受け取り、自分の力に変えてきました。チームメートたちに語る感謝の思いとは――。
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戦力外通告を受けて、数日が経ちました。なってしまったことはどうしようもないこと。野球ができなくなるわけではないですし、違う場所でプレーをしたいので、レベルアップを目指して練習しているところです。1軍で成績を残せなかった。前回に育成になった時(2022年オフ)もそうですけど、年齢的にも今度戦力外になるなら、次は……というのは感じていました。でも、逆にチャンスでもあるので。「どうしよう」というよりは、違う意味で楽しみになってくると思います。
ホークスの4年間、いい先輩たちがずっと自分の周りにいました。どんどんお世話になった人が抜けていくシーズンだったんですけど、周りに恵まれて野球ができました。プライベートでもお世話になった方たちが多くて、自分も年数を重ねて、後輩にそういう(自分がしてもらったような)思いをさせてあげたかったです。そんなお手本になるような人がたくさんいました。これからも続く野球人生。僕もこれからいい先輩になっていけるように……。
一番笑わせてもらったのは甲斐野(央)さん。お兄ちゃん的な存在は(高橋)礼さん・なんでも話せるのは泉(圭輔)さん。他にも椎野(新)さん、高橋純平さん、今年で言えば鍬原(拓也)さん、古川(侑利)さん、なべさん(渡邊佑樹)。1人1人が会ったことのないようなタイプでした。1軍で投げている人に共通点があるとしたら、心が広い人が多くて、余裕がとてもありました。
礼さん、泉さんはどんな時でも一緒にいました。「千葉県人会」っていうのがあって、去年だったら重田(倫明)さん(現広報)がいたんです。近藤(健介)さんが千葉県人なので、「一番年上で会長ですね」って言ったら、礼さんが「違います。会長は私です」って言ったり(笑)。投手で県人会をすることが多くて、なぜかそこに泉さんが来ていました。金沢出身で関係ないのに「早く県人会しましょう」って言い出すようになっていましたね。
戦力外通告を受けた時にも、礼さんは連絡をくれました。自分と泉さんと3人で「千葉県人会」っていうグループLINEがあるんです。そこで「何かできることがあったら相談してください」みたいな感じで連絡があって。基本的に、その2人はなぜか自分に敬語なんですよね……。「中村さん、大丈夫ですか?」って(笑)。自分からは“OK”ってスタンプで返したんですけど、泉さんから「だいぶ落ち込んでいますね、中村さん」って突っ込まれました。
去年のオフ、2人がトレードになった時に「グラブをください」とお願いしたんです。「あなたにはあげないです」って言われていたんですけど、礼さんも泉さんも(巨人に行く)寸前に自分のロッカーにグラブを置いていてくれたんです。それは嬉しかったですね。自分の野球人生の中で“宝物”でもありますし、これからどこで野球をすることになっても持っていきたいです。今年もずっと使っていましたからね。
又吉(克樹)さんにも、本当にお世話になりました。中日から加入された方ですし、独立からプロに入っていろんな経験をされている。ご飯にいくと、若いうちからこういう話を聞けるのは本当に貴重だと思えましたし。自分が2年目くらいで車を買った時に、納車をしたんです。自分の家の駐車場に車が届いたので「ありがとうございます」って言ったら、ディーラーの方が「又吉さんから後部座席に納車祝いのシャンパンが……」って。どこかから、自分が購入することを知っていたんだと思うんですけど、プロ野球選手って、やることカッコいいなってその時に思いましたね(笑)。
それまでは又吉さんも「お前どうせぶつけるんだから」とか言ってちょっと小馬鹿にされていたんですけど、やっぱりアンテナがすごいですよね。モテる男だなって思いました。そのシャンパン、開けて飲んだんです。翌日に挨拶に行ったら「普通はありがとうございますって写真を撮って俺に送るだろ! 何勝手に、最初に飲んでんだよ!」って怒られました……。1日中「ありえなくね!?」って周りに話していました。やらかしちゃいましたね……。でも、笑い話に変えて自分に勉強させてくれるところも、またいい先輩ですよね。
自分は(又吉を)先輩だと思っているんですけど、それを忘れちゃうくらい。本当に素の雰囲気で接してもらって、楽しい思い出ばかりです。そんな先輩と1軍で戦って、優勝に貢献できた時には、はかり知れない喜びがあったんだろうと思います。それは叶えられなかったので、「あの人が頑張っているから、自分も頑張ろう」と思えるように、これからも挑戦していきたいです。
最後に、ファンの方々。4年間、やりやすい環境で野球ができたのは温かい声のおかげです。DMも見るようにしていて、疲れている時に頑張れたこともありました。(次にプレーする)チームはホークスではなくなってしまいますけど、「中村亮太、成長しているな」と思ってもらえるように頑張るので、見かけた際はよろしくお願いします。4年間、本当にありがとうございました。
(竹村岳 / Gaku Takemura)