「球団から提案してもらいました。自分も2年前くらいから変えたかったので、それで変更になりました。番号が変わるだけで気持ちも違いますし、心機一転じゃないですけど。1つの区切りというか、そんな心境です」
10月15日から約1週間、3軍は韓国に遠征していた。そこに渡邉陸も参加。休日のある日、スマートフォンが鳴った。相手は球団の編成担当者だった。「背番号を変えようと思うんだけど、00番でどう?」と言われ、「お願いします」と返答した。2023年から2シーズン続けて1軍出場がない。球団が主導して背番号を変更する意味を問いかけられた。
「『(背番号を変える)ということは、どういうことか、わかるよな? 球団も期待しているから、頑張れ』って言われました」
ターニングポイントにしないといけないことは、自身がよく理解している。「もう若いと言っていられる年じゃない。この2年間は悔しい思いをしたので、それをぶつけるじゃないですけど。また新しい1年が始まるので、ゼロからのスタートという気持ちです。変なプライドもなくなりましたし、本当にやるだけです」。危機感も含め、覚悟を形として目に見えるように、背番号を変える決断をした。
ド派手なデビューを飾ったのは2年前のことだった。2022年5月28日の広島戦(みずほPayPayドーム)。プロ初スタメンで2打席連続本塁打を放った。渡邉陸にとっても79番は嬉しさも悔しさも味わった番号だ。「僕も育成から支配下になって、第1章が終わった感じ。また新しいスタートじゃないですけど、番号も変わったので気持ちもガラッと変えたい」。本塁打の衝撃はもちろん、特に覚えているのがプロ初出場だという。同年5月24日のDeNA戦(横浜)、代打で出場して二ゴロに倒れた。
「79番での思い出と言えばホームランもそうですし、横浜スタジアムの初打席ですね。あれは忘れられないです。鮮明に覚えています。雰囲気だったり、ネクストの気持ちだったり……。応援もすごくて。山崎康晃投手だったので、『めちゃくちゃいいデビューや』と思っていました。プロ野球生活がスタートしたなと思いましたし、その時の番号ですから」
時間は過ぎ、2024年はウエスタン・リーグで57試合に出場して打率.201、2本塁打、16打点という成績に終わった。2月1日、春季キャンプの初日に左第1肋骨を疲労骨折し、離脱を強いられた。「怪我から始まって、ずるずるいってしまった。その中でも自分のいいものと悪いものがはっきりしました」。自分の中でたくさん反省もした。00番とともに2025年、再出発を図る。