生まれも育ちも福岡…大好きなホークスだから「悔しい」 戦力外の仲田慶介、大粒の涙の意味

戦力外通告を受け、目に涙を浮かべるソフトバンク・仲田慶介【写真:竹村岳】
戦力外通告を受け、目に涙を浮かべるソフトバンク・仲田慶介【写真:竹村岳】

球団からは育成契約打診も…「どこか声がかかってくれれば」

 ソフトバンクは4日、7選手に対して来季の契約を結ばないことを通達したと発表した。今シーズン開幕前の3月19日に緒方理貢外野手、川村友斗外野手と共に支配下選手登録を勝ち取り、“育成三銃士”と呼ばれながら戦力外となったが仲田慶介内野手だった。「本当に今までで一番と言っていいくらい悔しい」と涙ながらに胸中を語った。

 2021年育成ドラフト14位で入団した25歳。12球団全体で128人が指名された中でも、“最後の男”だった。福岡市に生まれ育ち福岡大大濠高、福岡大を経てホークスに入団した。

 戦力外通告を受け育成再契約を打診された直後の取材。仲田は大粒の涙を流した。声を詰まらせながら、その意味を明かした。

「本当に、この地元の球団で活躍したいっていう気持ちが……。ショックではありますけど、自分の技術を磨き続けていれば、絶対どこかで報われると思うので。明日以降もしっかりと変わらずに練習に取り組みたいと思います」

 育成14位から支配下を目指してきた。練習量は誰にも負けず、自然と周囲から「努力の人」と呼ばれるようになった。ホークスへの愛着を認めつつも、「育成時代は毎日本当に死に物狂いでやっていたので。今回またこのタイミングで育成に戻る。あの時と同じ気持ちでは正直、今はできないと思うので。他球団でオファーをいただけるなら、そこで全力で勝負したいなと思います」と素直な気持ちをこぼした。

 入団3年目の今季、開幕を1軍で迎えた。24試合に出場して、打率.214の成績。主に守備固めや代走で起用されてきた。7月に登録を抹消されると、腰の故障もあってリハビリ組で汗を流す期間もあった。それでも怪我が癒えると、ファームでは24試合で31安打を放ち、打率.403の圧倒的な成績を残していた。

 再び1軍に昇格したのはシーズン最終戦の10月4日だった。「もう1度、1軍でプレーしたいと思って、その中でチャンスがもらえなかったということは、本当に今までで一番と言っていいくらい悔しかったですし、絶対もう一度這い上がってやろうと……」。そう語る声は震えていた。

 福岡市出身の仲田。幼いころからドームに足を運んだ。それは大学時代も変わることなく、ホークスのユニホームを着てプレーする姿を想像しながら試合観戦に訪れた。「本当に悔しいですし、やっぱりこのドームで、ホークスのユニホームを着て活躍したいという思いがずっとあったので。本当に悔しいです」。今後の動向次第では、福岡との別れが訪れるかもしれない。それでも地元に対する思いを最後まで語り続けた。

(飯田航平 / Kohei Iida)