柳町達、人生初の感触は「柔らかい」 髭伸ばして5日目…栗原&甲斐からの笑えない“約束”

ソフトバンク・柳町達【写真:冨田成美】
ソフトバンク・柳町達【写真:冨田成美】

日本シリーズまで残り6日…柳町の髭はどこまで伸びる?

 26日に開幕する日本シリーズに向け、20日から全体練習を再開したホークス。気持ち新たに汗を流すナインの中で、落ち着かない様子だったのが柳町達外野手だった。鼻の下をさわさわ、あごをなでなで……。目を凝らすと、見慣れない「あるもの」が存在していた。

「きょうで5日目ですかね。やっぱり気になっちゃいます……。人生で初めてなので」。そう口にした柳町は、また鼻の下を触った。指先でなぞったのは、控えめな髭。剃りたくても剃れない事情があるという。なぜ生やし始めたのか。その背景には先輩との“約束”があったそうだ。

 日本ハムとのクライマックス(CS)ファイナルステージの初戦が行われた16日、柳町は甲斐拓也捕手、栗原陵矢内野手と試合前に話す機会があったという。「クリさんが、ふと『髭生やしたらどう?』って言ってきて。あまり似合わないと思いますよって答えたら、甲斐さんから『次スタメンで出るまで髭剃るの禁止な』って言われて。そこからずっと伸ばしています」。柳町が苦笑いしながら明かした真相は、仲良しコンビの“思い付き”だった。

 この時のやり取りを栗原が再現してくれた。「僕が『お前って髭伸びるん? 全然生えてこんよな』って聞いたら、(柳町が)『毎日剃ってますよ』みたいな。で、『1回伸ばしてみてや』って頼んだら、『いいですよ』って言ったんで。そしたら、甲斐さんが『スタメンで出るまででええんちゃうん』って。そんな感じです」。最後は「甲斐さん主導ですよ」と付け加えるのも忘れなかった。

ソフトバンク・柳町達【写真:冨田成美】
ソフトバンク・柳町達【写真:冨田成美】

「髭、ボーボーになってほしいですよね」。悪だくみをするような顔つきでにやりと笑ったのは、柳町の2学年後輩にあたる正木智也外野手だった。「きょうの朝、(柳町が)クリさんや甲斐さんと話していたのを聞いていて。スタメンで出るまで剃れないって言っていたので。『へー』って」。あくまで他人事のようなリアクションだった。

 無傷の3連勝を飾ったCSファイナルステージ。故障で離脱していた近藤健介外野手や周東佑京内野手が戦列復帰したことで、3試合とも外野の顔ぶれは左翼・正木、中堅・周東、右翼・柳田悠岐外野手で変わらなかった。ある意味、正木が柳町のスタメン出場を阻んだ形とも言えるが、普段から仲のいい先輩に遠慮はなかった。

「僕のせいかなって思いはないですけど、個人的には髭が伸びた姿を見てみたいですね。達さん似合いそうですけどね、顔が濃いから。ボーボーにしたいですね」。日本シリーズでも柳町の髭を剃らせるつもりはないようだ。

 必死なのは柳町だ。普段は電動カミソリやT字カミソリで処理しているそうだが、初めて生やした髭の感触に「柔らかいですね」と苦笑。「早く剃りたいっす」と肩を落とした。経緯を伝えた家族からは、「早く剃れるように頑張りな」とのエールをもらったという。

 雰囲気の良さが表れた一連の“髭騒動”。日本シリーズではさっぱりした顔で快音を連発する柳町をぜひ見たい。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)