主力野手に聞いたCSの“心構え” 「勝ちゃあ何でもいい」「あくまでチャレンジャー」

ソフトバンク・山川穂高、今宮健太、甲斐拓也(左から)【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・山川穂高、今宮健太、甲斐拓也(左から)【写真:荒川祐史】

16日に始まるCSファイナル…主力野手3人に聞いた“戦い方”

 クライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージは16日に始まります。4年ぶり日本一に向け、ホークスの選手は調整を続けています。今回は攻守でチームをけん引してきた山川穂高内野手、今宮健太内野手、甲斐拓也捕手に大一番への心構えを伺いました。経験豊富な主力らしく、深みのある言葉が並びました。

●山川選手

——CS前にみやざきフェニックス・リーグで調整した。
「充実していたと思います。いっぱい走れたのでいいと思います」

——CSに向けて試したことは?
「(打席に)立った時に重心どこがいいかなとか、手の位置もこのへんかなとか。そういうものですけど。それってCSが始まっちゃえば、また(試合を)やってみないと分からないところなので。それよりも、やっぱり太陽の下で野球をやると疲れるんですよ、めちゃくちゃ。汗もいっぱい出ますし。ドームでも、もちろん出力を上げればそうなりますけど。こっち(宮崎)で朝早くからやった方が(調整的に)いいかなと思ってお願いしたので」

——フェニックス・リーグで試合に出ようと思った理由は?
「どうしてもナイターの流れでずっと(生活をして)いくと、夜が遅くなって。不健康じゃないですけど、ちょっとリズムが違いますし。そこをもう一回、朝ご飯をしっかり食べてっていう感じです」

——CSに向けての過ごし方は。
「とりあえず今は日本ハムかロッテか。それを見つつ、自分の練習もしっかりしつつという感じですかね」

——シーズンでは本塁打、打点の2冠に輝いた。自信をもってCSに臨めるか?
「そこは全く別物なので。シーズンでの2冠というのは第1目標でしたので。そこが達成できたことは最低限よかったですし。最終目標はCSに勝って日本一というところなので。ここから先っていうのは個人タイトルとかないので。MVPとかそういうのはありますけど、(目標は)そういうのではないので。勝ちゃあ何でもいいかなと。勝つためにより集中して動きたいなと思いますね」

●今宮選手

——CSでかかるプレッシャー。
「リーグ優勝して迎えるCSなので。楽しめるかというと、どうなんですかね。難しいとは思います。初戦はやっぱり緊張するだろうし、(試合の)入りっていうのは自分たちも意識してやっていく。勝手にそこは(他選手も)なっていくと思うので。だからといってやることを変えるというのはないので。シーズン同様、やることは一緒だと思っています」

——2018、2019年はリーグ2位からのCS突破、日本一だった。今年とはやはり違う。
「違いますね。リーグ優勝できなくて迎えたCSだったので。正直、気持ち的には『やってダメでもしょうがない』というか。そう思って臨んだところは正直ありました。今年は違うので。リーグ優勝して、やっぱり勝たなくちゃいけないので。全然違いますね」

——難しい部分がある。
「アドバンテージが1勝分あるとはいえ、あってないようなものなので。シーズン同様、あくまでも僕たちはチャレンジャー精神から始まった1年だったので。そういった気持ちで臨んでいくことが大事かなと思います」

——アドバンテージは全く頭にない。
「ないですね、全く。1勝しているから1敗していいとは思わないですし。特に初戦は大事になってくると思うので。一気に2勝0敗にできれば、また変わってくるだろうし。でも、2勝しても相手が4勝すれば終わりなので。だから正直、何が起きるか分からないのが短期決戦だと思うので。トーナメントとまでは言わないですけど、それに近い形になってくるので。1敗しても次を取ればいいやという考えもないですし」

——緊張とはどう付き合っていく。
「それを解こうとも思わないです、緊張はみんなするだろうし、そこを認めて。『緊張してねえよ』とほらを吹くよりは、思い切り緊張を認めてやっていった方がいいのかなと思うので。もちろん楽しんでやることがベストだと思いますけど、そういった気持ちになれるかどうかというのはわからないですね」

——緊張との付き合い方がうまい。
「ネガティブなことは考えずやっていくのが大事かなと思います。エラーをしたらどうしようとか、打てなかったらどうしようというよりも、きょう打てなかったら明日は打つと。そういう気持ちで考えてますし。守備はエラーしたら取り返すのがなかなかできないことなので。ミスを少なくやることがセオリーなのかなと思いますけど」

——凡事徹底がより大事になる。
「そうですね。やっぱり相手もミスがあるかもしれないので。そこに付けこんでいければチャンスが広がるだろうし。逆にそこをつかれれば、ピンチが広がっていくので。そこは意識してます。そういった中での緊張感は出てくると思います」

——チームの中心として迎える。
「リーグ優勝して迎えるファイナルなので。まあ近ちゃん(近藤健介外野手)がどうなるのか。それでまた変わってくる部分はあるかもしれないですけど。戻ってきても、戻ってこられなくても僕がやれることは変わらないので。しっかりそういう役割に集中したいなと思います」

●甲斐選手

——CSに向けた準備は?
「めちゃくちゃ時間使うと思います、準備は」

——これから?
「もう始めていくところですね」

——コーチも交えて?
「まずは自分でですね」

——短期決戦の難しさ。
「やってきたことをしっかり出すというのは変わらないですけど、それでもいつもと違う部分が出てきたりするのが短期決戦ですし」

——短期決戦は初戦の重要が大きい?
「結局、4勝すればというところなので。その先も考えてやるべきことはあるのかなと思いますし、色んなものを見てですね」

——CSは楽しめる舞台?
「楽しむというのはまた違うとは思うんでけど。どれだけ野球に対して、ゲームをしっかり自分たちのペースに持っていけるのかというところだと思うので。そこには準備も必要ですし、何もなくてそれ(主導権を握ること)は難しいと思うので。しっかりとそのための準備に時間を使って。それをした上で先の1試合、トータルで何試合というのを考えて、こういうことができたらなというのは、キャッチャーとしての楽しみではあるとは思うので。単純な楽しさとは別ですけど、充実してできるかどうかですね」

——リーグ優勝して臨むCS。
「あくまでも僕らは勝たなくちゃいけないのは一緒なので。いくら1勝(のアドバンテージ)があるといっても、どちらにしても4勝しないといけないので。やることは変わらないですね。あとはこの球場(みずほPayPayドーム)で色んな力を借りながらやりたいなと」

——今年は打撃も好調だった。
「まあ悪くはないとは思いますよ。できることをしっかりやりたいと思います。打線の一つとして得点に絡めればと思いますし、なにかチームのために。主役になれなくてもやれることはたくさんありますし、そういうふうにやれればなと思います」

——どれだけの時間、映像と向き合っていく?
「めちゃくちゃ時間使いますよ、僕は」

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)