頼れる“核”は、絶対に動かさない。ソフトバンクは16日、ロッテ戦(みずほPayPayドーム)に4-0で勝利した。3番に入った柳町達外野手が4号2ラン。4番の山川穂高内野手が27号ソロで2者連続本塁打を放つなど、初回から一気に主導権を握った。柳町に3番を任せているのは“監督の推薦”が背景にあった。ホークスが誇る「4番&5番」についても「絶対に勝負してもらわないといけない」と、首脳陣が抱く信念に迫る。
15日の西武戦(ベルーナドーム)では栗原陵矢内野手が欠場した。6月1日の広島戦(みずほPayPayドーム)から3番に入り打率.266、12本塁打、60打点の打棒でチームを支え続けていた。代わって3番に入った柳町は、初回1死二塁から打席へ。右腕・石川のツーシームを右中間テラスに運び去った。昨シーズンまで通算1本塁打だったヒットマンが、苦しい夏場で2試合連発と、結果で応えてみせた。
栗原が12日の楽天戦(みずほPayPayドーム)で左膝に自打球が直撃して欠場。なぜ柳町が3番になったのか。その理由を奈良原浩ヘッドコーチが明かしてくれた。その裏には、力強い“監督の推薦”があったからだ。
「もともと、状態が良かった。クリを外したのも、そこを打てるとなれば、今の現状で言えば達かなと。監督からの推薦もありましたので。俺は去年は知らないんだけど、去年の相性とかが今年の達はあまり反映されない。彼自身のバッティングスキルがグレードアップした感じがします。去年打てなかった投手を今年は打てたりするし、今年の調子の良さと技術があるから、ですね」
開幕から3番だったのは柳田悠岐外野手。その後が栗原で、柳町が3人目となった。8月打率.304という好調さを買って、大切なポジションを託した。「他の選択肢もあった」としつつ「打順って流れとか、右左とかもある」と理由を語る。奈良原コーチにとっても「期待通りですよ。やっぱり得点圏打率(.419)が高いですからね。1番、2番が出塁してくれたら、ポイントゲッターにもなれるし、アベレージも高い」。ピッタリと“空位”を埋めてくれた。
村上隆行打撃コーチも「達しかいないから」と即答する。3番という打順に「1番、2番が出塁したら、チャンスで返すこと。後ろに(山川が)いるんで、自分の良さを出してくれたら」と言い、柳町に期待を込める。栗原に関しても「疲れもあっただろうし、こないだは自打球もあったので。1回休むのも良かったかもしれないです。チームの中でも競争ですから」と言及した。
小久保裕紀監督は毎試合考えるオーダーに、山川という存在を踏まえて「4番をイジる必要がないので。野球観としてどこを最初に固めますかって言われたら4番でしょうね」と話していた。常に最終決定は指揮官だが、コーチの意見にも耳を傾ける小久保監督。村上打撃コーチも「4番を誰にするかというところで、山川とは僕も思っていました」と同調し、4番&5番の並びを「あれはもう変えないです」とキッパリ言った。3番をどうするかを考えても、今の“核”は絶対に動かさない。
「それだったら、近藤は絶対に(山川の)次だ、と。絶対に勝負してもらわないといけないところですから、これは外せません。4番、5番は不動です。そこが核ですし、しっかりしてくれているから若い選手を使うこともできる」
山川は15日の西武戦では1試合3発を放ち、この日のロッテ戦でも27号ソロを放った。第2打席となった3回1死三塁ではストレートの四球。ロッテバッテリーは勝負を避けたが、続く近藤の適時二塁打で4点目を奪った。3番を動かして2戦目も、クリーンアップが機能した。村上コーチも「だから近藤の後ろも大事ですしね。6番の正木もそうですけど、1人1人が打順を持ってくれています。打てなかったら悔しいし、じゃあどんな練習をすればいいのか、ってなる」と毎試合、チームとして成長しているところだ。
奈良原コーチは「(柳町が)塁に出てくれたら、調子が上がってきた山川がいて、近藤はずっといいですから。あそこに繋がると考えたら、達が繋いだらビッグイニングになりますよね」と頷いた。アマチュア時代に何度も経験した3番という打順だが、柳町本人は「どこでもいいです。自分のやることをやって、頑張ります」と表情を引き締めていた。首脳陣が探す最善の打順。山川&近藤という主軸がいるから、若手たちも輝く。