柳町達が思わず「本当にズルいっす」 プロ初3番で今季3号も…山川穂高に向けた“本音”

3号2ランを放ったソフトバンク・柳町達【写真:小池義弘】
3号2ランを放ったソフトバンク・柳町達【写真:小池義弘】

左臀部の違和感で欠場した栗原に代わって3番に入った柳町が2安打3打点の躍動

 自身のアーチをかすませるかのような主砲の暴れっぷりだった。15日の西武戦(ベルーナドーム)で左翼席への放物線を3度も描いたのは山川穂高内野手。キャリア初の3番に座った柳町達外野手が口にしたのは“ジェラシー”だった。

 柳田悠岐外野手の離脱後、全試合で3番を任されていた栗原陵矢内野手が左臀部の違和感でスタメンを外れた。“今季3代目”の3番打者として代役を任されたのが柳町だった。首脳陣の起用に応えるように、初回は四球を選んで山川の2ランをアシスト。3回無死一塁では自身もバックスクリーン右に3号2ランを叩き込んだ。7回の適時二塁打を含めて2安打3打点の活躍だった。

「山川さんが後ろにいたので、つなぐ意識で打席に入った結果がホームランになったのかなと思います。『とにかく入ってくれー』と祈っていました」。昨季まで通算1本塁打だったが、今季はこれで3本目。課題だった長打力不足を解消しつつある27歳だが、山川の打撃に話題が移ると、思わず“本音”が漏れた。

「やっぱりレベルが違うなと思いました。1試合3発はすごいとしか言いようがないですよね」。自身が今季積み重ねてきた本塁打数を、1日のうちに打ってしまう“本物のアーチスト”。「本当にズルいっすよね」。冗談っぽく口を尖らせた。

ソフトバンク・柳町達【写真:小池義弘】
ソフトバンク・柳町達【写真:小池義弘】

 もちろん柳町と山川では求められる役割は違う。それでも打者にとってホームランは特別な意味を持つものだ。「もちろん打ちたいという気持ちはありますよ」。プロ5年で通算打率.274を記録している巧打者は、これまでにも思いを口にしていた。

 小久保裕紀監督も柳町が今季2号を放った7月20日の西武戦後には「外野手なんで。多少は長打力がないと、この世界ではやっていけない」と言及していた。プロ入り後、何度も指摘されてきた弱点を克服するため、柳町は昨オフから長打力アップを目指してトレーニングを続けてきた。

 その効果は如実に数字として表れている。昨季まで長打率のキャリアハイは2021年の「.354」だったが、今季はここまで「.473」をマーク。一方で打率も.318と、見事に長打と巧打を両立させている。打者として1段階レベルが上がった印象だ。

 15日の試合後、バスに乗り込む直前に「次は僕が(1試合3本塁打を)打ちます!」と力強く言い切った。普段は冷静な口ぶりの柳町が発した威勢のいい言葉は、何よりも打撃への手応えを感じている証拠だろう。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)