オスナは「歯がゆい状態」だった…松本裕樹が代弁する“試行錯誤” 登録抹消に語った胸中は

ソフトバンク・松本裕樹(左)とロベルト・オスナ【写真:竹村岳】
ソフトバンク・松本裕樹(左)とロベルト・オスナ【写真:竹村岳】

代役の守護神について倉野コーチは「普通に予想できる範囲で考えています」

 守護神を見て感じたのは「歯がゆい状態」だった。ソフトバンクのロベルト・オスナ投手が5日に出場選手登録抹消となった。ホークス2年目を迎えた助っ人右腕は今季30試合に登板して0勝2敗20セーブ、防御率3.99。「自分の投球には満足できていない」と改善策を模索し続けていたが、時間を与えられることになった。ともに必勝パターンを背負ってきた松本裕樹投手、ダーウィンゾン・ヘルナンデス投手が“オスナ不在”の胸中を語った。

 オスナは6月23日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)で、2点リードの9回に登板した。しかし、ピンチを作るとソトに3ランを浴びて一気に逆転された。中6日で登板した30日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では、10点差の9回にマウンドへ。レイエスに2ランを浴びるなど、またしても3点を失った。小久保裕紀監督は登録抹消について「10日でなんとかしてほしいという話はしてますけど。こればっかりはちょっと分からないですね」と話すにとどめていた。

 倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)は「無理して(最短復帰の)10日で合わせて、後半戦に響く、もっと大きなことになるというのが一番怖いので。そのへんはしっかり慎重に、きっちり進ませてあげたい」と言う。代役の守護神については「普通に予想できる範囲で考えています」と名前は挙げなかったが、当然期待が大きくなるのが松本裕とヘルナンデスだろう。守護神の不調と登録抹消を、松本裕はどのように受け止めたのか。

「ここまで中継ぎ陣を引っ張ってきてくれている。抜けるということですけど、今日も(1軍に)いましたので。シチュエーションが変わってまだそこ(セーブの状況)で投げている人がいないので、まだ実感はないですね」

 昨季から始まったオスナとの“競演”。今年2月の春季キャンプでグッと深まり、お互いにリスペクトしながら必勝パターンの仕事をこなしてきた。オスナが後ろに控えていることを「1点でも勝っている状況で彼に回すのが僕の仕事。なんとしてもそこに繋ぐというのを常に考えていました」と表現する。自分の持ち場を全うするからこそ、松本裕なりにオスナの苦悩は感じ取っていた。

「去年とは取り組み方もちょっと変わっていたり、投げ方も色々試しているのを僕たちも見ていました。ずっと歯がゆい状態で過ごしていたんだなっていうのは思いますね。フォーム自体は去年とはちょっと違うので、試行錯誤しているのは感じていました」

 ヘルナンデスも、オスナについて「抹消になってほしくなかったですけど、それは彼のことなのですぐに治してくれると期待しています。帰ってくるまではしっかりと自分の仕事をしたいと思います」と話す。同じスペイン語圏の2人。交流戦明けの休みも家族ぐるみで出かけるなど、グラウンドを離れても親交は深い。だからこそ「一番は寂しい気持ちです」と、本音も明かした。

 ヘルナンデスはホークス2年目を迎えた2024年、開幕1軍を逃したものの昇格して以降は結果で応えている。21試合に登板して2勝0敗、防御率1.71。21イニングを投げて34三振と打者を圧倒している。「自分がベンチに帰った後に(ブルペンの)カメラとかを見ると『次はオスナなのかな』と思ったりする。そういう意味でも、特別ではありました」。オスナの存在をいつも近くで感じているだけに、離脱した今は自分が助ける番だ。

 松本裕とヘルナンデスが口を揃えたのは、どれだけ苦しんでいようとオスナは態度には表さなかったこと。松本裕は「言葉や態度としてそういう表現をすることはなかったですね。打たれた時もそういう姿は見せず、次またしっかりやるための準備をしていました。良い時も悪い時も、その理由を自分の中で理解していましたし、言語化もしていた。そういうところはすごいと思っていました」と言う。ヘルナンデスにとっても「彼はいつも変わらない。そういう彼の姿勢を見て『いいな』と思って見ていました」と、追ってきた背中でもあった。

 必勝パターンとして、2人にかかる期待も大きくなるはず。ヘルナンデスは、同学年でもある松本裕のことも「彼と一緒に仕事をすることは特別ですし、彼もいつもポジティブです。(自分の役割に)集中していますし、オスナと同じようにみんなのことを考えている選手です。人間的にもすごくいい人です」と信頼している。リリーフ陣全体が一丸となって、苦しい夏場を乗り越えていきたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)