周東佑京の単独インタビュー…チームは「雰囲気良くできている」
周東佑京内野手が、鷹フルの単独インタビューに応じた。テーマは「選手会長としての苦悩」。チームの先頭に立つことを期待されてきた2024年、現状を「キツいです」と本音を漏らす。さらに、柳田悠岐外野手の離脱についても改めて胸中を明かした。2人らしい笑ってしまうようなやり取りや「いずれはいなくなる」という決意。周東が今、抱いている感情とは――。
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チームは65試合を消化して43勝19敗3分け。「チームは、いいんじゃないですか。首位にいますし。交流戦もあの順位で行けましたし、勝てていますから。雰囲気良くできていると思います」と語る。周東自身は54試合に出場して打率.270、2本塁打、12打点。22盗塁はリーグトップで「めちゃくちゃ悪いかと言われたら悪くないですけど(スタメンを)外れた時もあるし。普通です、良くも悪くも。めっちゃ良いかと言われたらそうでもないし」と現状を見つめている。
3、4月は打率.319と好スタートを切ったものの、5月は打率.200と落ち込んだ。昨年12月には米国に行き「ドライブライン・ベースボール」に触れ、自分の打撃を見つめ直してきた。シーズンが開幕して、調子の波こそあるものの「やろうとしていることが一貫しているのは、今年はデカいと思います」と語る。「あれやって、これやってっていうのが今のところはない。今年はこれをやろうというのを貫く。続けられているっていうのは良いことです」と明かした。
今季からは選手会長も託され、チームを引っ張っていく立場となった。5月下旬からはなかなかヒットが生まれずに、スタメンを外れる試合もあった。その時の周東はずっと、思い詰めているような表情だった。立ち振る舞いを「非常に悪かった」と振り返っていた理由は、どんなものだったのか。自分自身の苦悩を思い返す。
「打てない時にどうあるべきかっていうのは、出ていない時期にすごく思いました。出ていない、打てないからどうしようっていうのじゃなくて、なんで打てないんだっていうイライラがすごく出ちゃっていた。それも練習とかでも、ムキになって『やってるのに打てないじゃないか』みたいに思ったり……。そういうのが良くなかったですし、自分の中で思ってもいいですけど、あからさまに周りに見えていたのが良くなかったです」
再びスタメン起用されるようになった今だから、冷静に振り返る。周囲から見ても「わかります」と言うほどで「めちゃくちゃ出ていたと思います……。抑えるじゃないですけど、やるべきことをしっかりやるっていうのはできていなかった」と、また勉強になる期間となった。ベンチにいても最前に立ち、ナインを出迎える姿は変わらなかったが「試合になればチームの応援をするのは当たり前ですし。それ以外のところですよね。練習の中だったり。(小久保裕紀)監督の言葉を借りると投げやりになっていた」と反省は尽きない。
5月31日の広島戦(みずほPayPayドーム)では、柳田が右ハムストリングを痛めた。病院で受診した結果は「右半腱様筋損傷」。6月のチームは12勝4敗1分け。離脱から3週間が経っても優勝に向かって突き進んでいるが、周東は柳田がいないことに「違和感しかない」と言う。
「やっぱりずっと一緒にやってきたし、いないのは違和感しかないです。でも、僕らはやるしかない。いないから、勝てなくなったと言われるのも癪(しゃく)ですし、いないけどやっぱり強いと思われたいです。どっちにしたって、ギーさんも歳を重ねてきて、いずれはいなくなるわけじゃないですか。そうなってきたらやっぱり、いつまでも“ギーさんギーさん”だったら弱いチームのままだと思いますし。難しいですけど」
10月に柳田は36歳になる。チームの顔であることは間違いないからこそ、そのバトンは自分たちが受け継がなければならない。離脱以降、やり取りしたのは「『ロッカー片付けてください』っていうくらいです」と笑って明かすが、柳田がいないということが、どんな意味を持つのか。誰よりも真っすぐに向き合っているのが、グラウンドにいるホークスナインだ。
柳田自身も2018年から2年間、選手会長を務めた。2022年から2年間はキャプテンと、チームの先頭に立つことは数多く経験してきた。その背中に周東は「どんな状況でも良い意味で変わらない。キツいでしょうけど、変わらないっていうのはすごく思いました。打てても打てなくても、キツくてもキツくなくても。周りに対しての立ち振る舞いとかも変わらないというのは、すごく思いました」と目指す姿の1つだ。柳田から学んだリーダーシップを、どのように自分に落とし込んでいるのか。
「ありのままでいたいですよ。意図して引っ張ろうとしたらおかしくなるというか、背筋を伸ばしてもいいことないと思うので。本当にやれることをやるだけかなと思います」
6月1日、広島戦前に小久保監督は選手を集めて「柳田の穴を埋めようと考えなくていい」と伝えた。大黒柱の代わりになることは、誰にもできない。周東も「埋まらないので、結局。埋めようと頑張っても、あれだけ大きな存在は埋まらないです」とキッパリ言い切る。だから「1人1人が力を合わせるだけかなと思います。帰ってきた時にいい位置にいる、それだけです」と頼もしく誓った。離脱は痛手だが、柳田の不在は、チームが大きく成長するチャンスでもある。
選手会長という立場。バトンを託した今宮健太内野手は「佑京は変わってきましたよ。しんどいと思いますけど、もっと人間として成長できる」と話していた。周東も「健太さんは見てくれているでしょうし、見られていることを感じながらやらないといけないです」と誓った。任されたからこそわかったのは、先輩たちの偉大さ。「大人だなと思います、みんな(笑)。キツいもん。キツいし、本当に変わりたいと思う時もあります。それでもやらないといけないので、難しいです」。苦悩が報われ、心から笑える瞬間を待つ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)