ロベルト・オスナ投手が17年前に千葉県でお世話になったというホストファミリーが見つかった。オスナが恩人を探しているとの記事が8日午前にアップされ、同日の夕刻にはホームステイ先の人物が判明。驚くべきスピードでの「解決」には意外な協力者の存在があった。
「私も健介が小学6年のころにホームステイを受け入れた経験があるんです。だからオスナ君の気持ちがよく分かった。何か力になれるなら『一肌脱いでみるか』と思っただけですよ」。そう話したのは近藤健介外野手の父、義男さんだ。恩人探しに尽力したのは、千葉県内に住んでいるという縁だけでなく、オスナに日本をより好きになってもらいたいという“親心”もあったという。
義男さんが記事を見たのは8日の朝。オスナが12歳のころに少年軟式野球世界大会のメキシコ代表に選出され、千葉県の御宿町でホームステイしたとの内容。「本当に良くしてもらったんです。スーパーに連れて行ってもらったり、海にも行きました。この経験があるから、もう1回会えればと思いますし、そういうチャンスがあったら」と再会を熱望するコメントを目にした。
恩人探しへの熱い思いが伝わり、すぐさま行動を起こした。同町役場に連絡すると、わずか4時間ほどで2人の関係者が判明。すぐさま球団に経緯を連絡したという。オスナが宿泊していたのは御宿町と、同じ千葉県内の大多喜町。どちらもメキシコにある自治体と姉妹都市関係にあり、オスナが日本に訪れる前からホームステイの交流が盛んだったという。
元中学校教師で、日本中学校体育連盟の野球競技部長やU-15侍ジャパン軟式編成委員長などを歴任した義男さんは現在、日本中学生野球連盟専務理事を務めている。今回の恩人探しもこれまでに培ってきた人脈が生きた形だが、義男さんが動いた理由はほかにもあった。
「オスナ君が会いたいって言っていたじゃないですか。その気持ちっていうのは、うちもホームステイをやっていたんでよく分かるんですよ。もし(相手方と)会えれば、また日本を好きになってくれるかなというのもあって、ぜひ協力できればと考えたんです」。自らの体験を踏まえつつ、オスナの将来も考えた行動だった。
義男さんは息子である近藤選手とオスナの関係性も明かしてくれた。「健介も仲がいいみたいなことは色々と言っている。よく話すんだよって」。息子の友人の喜ぶ顔が見たかった。距離にすれば1000キロを優に超える福岡と千葉。今回の記事をめぐっては、SNSでも大きな反響があった。異例の“早期発見”には、オスナを思う数々の優しさがあった。