「ちょっと兆しが見えてきたっていう部分もあってリチャードになった」
ソフトバンクは30日、アダム・ウォーカー外野手の出場選手登録を抹消し、リチャード内野手を登録した。リチャードはここまでウエスタン・リーグで30試合に出場して打率.182、3本塁打10打点の成績で、今季初昇格となった。
ホークスの2軍では柳町達外野手が同リーグで2位の打率.386をマークし、井上朋也内野手も同5位の.270を残している。規定打席には達していないが、正木智也外野手も打率.296を残している中で、打率1割台のリチャードが昇格の切符を掴むことになった。
なぜ柳町ではなく、リチャードになったのか。松山秀明2軍監督がその理由を説明した。
「右のバッターで、ウォーカーのDHのところで。左バッターは(中村)晃がいたり、結構いるので、右のバッターが欲しいということだった」
打撃不振で苦しんでいたウォーカーのファーム再調整が決定。代わって昇格する選手について、1軍からのリクエストは「右打者」だったという。レギュラーの柳田悠岐外野手、近藤健介外野手、周東佑京外野手、栗原陵矢内野手をはじめ、“切り札”中村晃外野手や川村友斗外野手、緒方理貢外野手、川瀬晃内野手と左打者は多い。チーム事情から右打者が候補になった。
「トータルの数字は悪いけど、この前のレフト前のタイムリーであったり、ちょっと兆しが見えてきたっていう部分もあってリチャードになったんで」。松山2軍監督が挙げたのは27日の同リーグの阪神戦。7回1死二塁で放った左前への適時打に上昇の兆しを感じたという。シーズンを通しての打率は.182と低迷しているものの、打撃の状態が上向いてきていることも後押しとなった。
現在の1軍はスタメンがほぼ固定されている。周東が不在の間に川村友斗外野手が結果を残したこともあり、リチャードもベンチで控えることが見込まれる。巡ってきた1軍のチャンス。“未完の大砲”はこの好機を生かすことはできるか。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)