ソフトバンクは21日、オリックス戦(PayPayドーム)に1-3で敗れた。相手先発の宮城大弥投手に完投勝利を献上した。打線は近藤健介外野手が放ったソロ本塁打の1得点のみ。先発したカーター・スチュワート・ジュニア投手は今季初黒星を喫した。試合後、小久保裕紀監督、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)が取材に応じた。首脳陣2人は、スチュワート投手に対して苦言を呈した。「信頼関係を失いかねない」と話した部分とは? コメントの全文は以下の通り。
――近藤選手のホームラン。監督も声をかけられていた。
「あのカーブはランナーがいたら使わないんですけど、ランナーがいない時には結構投げてくるので。誰かが仕留めてくれたらという話はしていました」
――周東選手が不在の中で、野村勇選手に1番打者を託した。
「宮城にどうかなと思って。1打席目はいい感じでしたけどね。チャンスのところ(3回1死一、三塁)はバットには当ててくれないかなというところだったんですけど、そんなに甘くないです」
――スチュワート投手は5回2失点。走者を出しながらも粘っていたが。
「打たれるとか四球とかは全然いいんですけど、バックアップはちゃんと行かないと勝ち運は向いてこないです。やることはやらないといけないので」
――長谷川威展投手が2回無失点と好投した。
「長谷川も澤柳も楽天戦以来だったので、投げたの。よくストライク入りましたよね。大したものです」
――2イニング行ったのも大きかった。
「今日、延長入ったらほとんど投手はいなかった。作戦的にも同点狙いか逆転狙いだったので。作戦どころじゃなかったけど。よく投げてくれたと思います」
○倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)
――スチュワート投手は走者を出しながら粘っていたが、大きかったのは5回先頭の四球ですか。
「先頭もそうですけど、毎回のように四死球を出していたので、今日はいつも以上に不安定だったと思います」
――登板3試合目が終わって白星がついていない。白星という基準は別にしても、3試合の内容については。
「正直この3試合、勝てるピッチングをしていないなって思います。投げるだけじゃなくて、球だけじゃなくてね。いろんな投げる技術においてもそうだし、本当に勝っていくためには投げるだけじゃない考え方もそうだし、他のプレー、投げる以外のプレーもそうだし。そういうところはもっともっと成長していかないといけないなと改めて感じました」
――監督はカバーリングを例に出されていた。投げる以外の投球の“偏差値”のようなところも含めて、そういう評価ですか。
「そうですね。そこは当然。エースで4番で代えが効かない存在であれば多少。じゃあオスナ(ロベルト・オスナ投手)がクイックをせずに二盗されるっていうところもあるじゃないですか。それって抑えで代えの効かない存在だから、そこまでの信頼を築けているからそういうのって許容される部分ではあると思うんですけど」
「まだカーターはその位置にはいないので、当然信頼関係という意味においては厳しくなってきますよね。こういうことを続けていると。ファームからもずっとそういうことはチームとして言い続けていることなので、信頼関係を失いかねないプレーということにはなります」
――倉野コーチから初めて評価に関する具体的なコメントを聞いた気がしますが、スチュワート投手は次回以降、そういった目で見ることにもなっていく。
「どうなるかわからないですけど、当然、比較対象にはなり得るんじゃいかなっていう。それくらい今日はあまりよくなかったので、これが続くようであれば、1軍レベルのローテーションというふうに考えるとどうしても、比較対象にはなってしまいます」
――20日は延長12回を戦っただけに、もう少し長いイニングを投げてほしかった。
「もちろん投げてほしい。6回、7回は行ってほしい気持ちではいましたけど、こういう展開も想定はしていたので。ちゃんと今日の試合を勝ちに行けるシミュレーションはできていた。勝ちには結びつかなかったですけど、長谷川(威展投手)は2週間ぶりの登板で2イニングを投げてパーフェクトに抑えてくれたのはすごく大きかった。試合を締めるという意味ではすごく大きかった、大きな働きだったなと思います」
――20日にリリーフで登板した石川柊太投手も含めて、リリーフにバリエーションが出てきた。
「それは本当に強みではありますし、これから重要にはなってくるかなと」
――澤柳投手の内容はいかがでしたか。
「澤柳も長谷川と一緒で2週間空いてしまっていた。ちょっと久しぶりの登板ではあったんですけど、球は元気だったので。これからですね、いろんな経験を積んでというところになります」
――来週以降も不規則な日程が続く。先発ローテーションについての試行錯誤、シミュレーションは続いていきそうですか。
「ずっとそれはね。今度は雨もありますから。雨が降った時にどうするのかっていうところも全て考えていますので」
――スチュワートは間隔が空いた中での登板だったが、登録抹消はしなかった。いろんな事態を想定した上での選択だった。
「抹消するのは簡単なんですけど、例えば今誰かが風邪を引いたり体調不良になった時に、今正直2軍に……。これタネ明かしになっちゃうとアレなんですけど、2軍で先発できる投手がいないんですよ。1軍で先発できる投手が。そういうことも含めて、いろんなこと、当然抹消も考えてはいたんですけどね。大津にしてもそうですけど、それもあるんですけど、いろんなリスクマネジメントは考えながらやっています」
――1軍も2軍も含めてちょっとずつ評価の明暗も分かれてきている。
「それはシーズンに入って始まれば当然、そういうことは出てくると思います」
――20日、ドラフト1位の前田悠伍投手が初の実戦登板を果たした。どのような評価でしょうか。
「正直、条件が悪くてデビュー戦としてはかわいそうだったなっていうのはありました。あまり、いいも悪いも評価はしていないです。度外視しています。ただ今日、本人とzoomで顔を見ながら話をして、次こういうふうにやっていきましょうという話はしました」
――次回以降は2軍戦にこだわらずに登板させていく。
「そうですね。今度は韓国で先発させようと思っています」