2軍で4安打1本塁打7打点 “人生初”左翼…野村大樹に宿る危機感「なんでも挑戦」

ソフトバンク・野村大樹【写真:飯田航平】
ソフトバンク・野村大樹【写真:飯田航平】

貪欲に求める「幅を広げるためにもチャレンジするべき」

 ソフトバンクの2軍は4日、タマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグのくふうハヤテ戦に16-4で勝利した。この試合で4安打1本塁打7打点の大活躍を見せたのが野村大樹内野手。「4か5打点ぐらいまではありますけど、7打点は初めてです」と笑みを見せた。

「4番・一塁」でスタメン出場し、初回1死二塁で左前適時打。2回1死二、三塁で適時打、3回1死一、二塁では2点二塁打と3打席連続でタイムリーを放った。極め付けは6回の5打席目。2死一、三塁でレフトスタンドへ2号3ランを叩き込み、1試合7打点の荒稼ぎだった。

「早い段階で自分のスイングをして、捉えられないと、やっぱり1軍のピッチャーって甘い球が何球も来るわけじゃないんで、先に先に自分から仕掛けて捉えられるようにやっていきたいなとは思っています」

 入団してからの5年間で、81試合に出場した。1軍の投手を相手にしてきた経験があるからこそ、得ることができた課題と日々向き合いながら2軍で汗を流している。そんな23歳が1軍での出場機会を掴み取るため、この試合から「生まれて初めて」という新たな挑戦を始めた。

 一塁手として先発出場した野村大が、6回の守備から向かった先は左翼のポジション。「ちょっと戸惑ってました。風もありましたし、(佐藤)直樹さんにずっとポジションを聞いてました」と振り返る人生初めての守備位置。4イニングを守り、守備機会はヒットの打球を処理した1度だけだったが、無事に“左翼デビュー”を終えることができた。

 野村大樹の持ち味は打撃だ。松山秀明2軍監督も「たまにバッティングが強引になったりするので、それだけ注意すれば、今日みたいな成績が続けられていく」と評価する。大きな期待を寄せているからこそ、1軍で出場するチャンスを広げてあげたいという親心があった。

「ちょっと練習させてみたらそう悪くもなかった感じだったので、やってみようかなみたいな。彼の幅も広がると思うし、プレーヤーとして。バッティングを生かすためには、自分の幅を広げれば、ポジションを広げれば、チャンスも増えてくる。それは、ちょっと本気では考えてますけどね」

 内野が本職ながら、1軍でなかなか出場機会を得られない課題が守備面だった。野村大の打撃力を最大限に生かすにはどうしたらいいか……。松山2軍監督が思いついた案が左翼という、これまでに経験のないポジションだった。この案は、3月31日に城所龍磨2軍外野守備走塁コーチから伝えられ、外野の練習をしたのは2日だけだった。

「面談をして『バッティングを生かすために外野手どうだ?』と言われたので『やりたいです』と、伝えさせてもらいました。色々なところを守れる方が自分の野球人生の幅も広がりますし、できるところはなんでも挑戦したいなと思うので、取り組ませていただけるっていうのは感謝しています」

 新たなポジションに挑戦することへの抵抗はない。「外野手1本っていうわけじゃないんで、全然迷いはなく、幅を広げるためにもチャレンジするべきだなと思いました」と、1軍で出場するためのチャンスと選択肢が増えたことを前向きに捉えた野村大の表情は明るい。

「去年、一昨年と1軍で出させてもらって、足りない部分も痛感しました。今年は毎日(ヒットが)1本とか出てるのはすごくいいかなと思います」。成長した打撃を1軍で発揮するため、貪欲にポジションを奪いにいく。

(飯田航平 / Kohei Iida)