尊敬する大投手との再会が刺激になった。29日に開幕する日本のプロ野球。ホークスの中継ぎ陣の一角として期待されるのが藤井皓哉投手だ。「順調に投げられたと思います」と語るように、オープン戦は4試合に登板し、失点は1のみ。防御率2.25という結果で順調な仕上がりをアピールした。
「自分のやりたいことをブルペンでも実戦でもしっかりできました。三振が取れることは非常に良かったと思います。フォアボールも少なくこれたので、そこは1番かな」。オープン戦で与えた四球は1つだけ。充実した時期を過ごせたことがその表情から伝わってくる。
キャンプでは体調不良で練習に参加できない時期もあった。難しい状況に陥りながらも、開幕に合わせて状態を上げてこられたのには、ある人物との“再会”もキッカケになっていた。「覚えていただいていたので、すごく嬉しいですし、頑張っていきたいなと思いました」。己を奮い立たせ、高いモチベーションを維持しながらここまで過ごすことができたキッカケを明かした。
「本当に黙々とやられている印象ですね。自分のことを黙々とやられている印象です。あそこまでの選手がそこまでやっていたので、僕もしっかりやらなきゃいけないなというのは思いました」
3月9日、10日に行われた春季教育リーグ・広島戦登板のため、藤井は2軍に参加した。かつて汗を流した由宇練習場を訪れた時に、一目散に挨拶に向かったのは広島の元投手で現在は球団アドバイザーを務めている黒田博樹氏だった。広島時代のチームメートで、共にプレーした大先輩についてこう語った。
「『頑張っているな』という話をしていただいて『これからも頑張れ』と言っていただきました」。挨拶した際には激励の言葉をかけてもらったが、何よりも嬉しかったのは、黒田氏が自分のことを覚えていて、見てくれていたということ。今でも成績や結果、頑張りを気にかけてくれていることが励みとなり、モチベーションを上げることにも繋がった。
「レジェンド! 本当にすごい人です」。藤井は2014年ドラフト4位でおかやま山陽高から入団し、2020年オフに戦力外となるまで6年間、広島でプレーした。黒田氏は2015年にヤンキースから復帰。その背中を見たのは引退する2016年までの2年と短い期間だったが、学んだものは大きかった。多くの人の期待に応え続けてきたその姿が今でも強く印象に残っている。
「ある程度任せてもらっている中でやっているので、開幕にしっかり合わせていかないといけない。初めての経験で分からないことはありましたけど上手くやってこれたかなと思います」
藤井は今季、再び中継ぎとして開幕を迎えることになり、キャンプから中継ぎとしての調整を続けてきた。「変なことは考えずに、毎日、自分にできることはしっかりやっていくっていうことを第一にやってきました」。胸を張って言えるのは、黙々と自分のことに目を向ける黒田氏の姿を見てきた経験があるからだ。
「順調には来ていると思うので、あとは体調を崩さないようにしたいと思います」。29日のシーズン開幕まで残り3日。今季は守護神のロベルト・オスナ投手へと繋ぐ大事な場面で登場する藤井を、何度も目にすることだろう。ホークスを勝利に導く右腕の快投に期待したい。