記念のウイニングボール「どうしようかな…」 斉藤和巳4軍監督が噛み締める“監督初白星”

ソフトバンク・斉藤和巳3軍監督【写真:飯田航平】
ソフトバンク・斉藤和巳3軍監督【写真:飯田航平】

監督初戦は15-3の完勝「いくら4軍であっても嬉しい」

 ソフトバンクの4軍は20日、タマスタ筑後でヤマエグループ九州アジアリーグの火の国サラマンダーズと対戦し、15-3で勝利した。先発した板東湧梧投手は6回1/3を投げて自責点2。野手では2回2死満塁で重松凱人外野手が走者一掃の右越え三塁打を放つなど活躍した。この試合で初めて指揮をとった斉藤和巳4軍監督は「4軍であっても嬉しいですし、忘れることはないと思います」と、にこやかに勝利を噛み締めた。試合後に取材に応じた斉藤監督のコメント全文は以下の通り。

――監督としての初試合で重圧は感じましたか? ワクワクしましたか?
「もちろん両方ある。やっぱり責任はあるんでね、その中で、試合の中でも色々経験をさせたい部分もあるし、試合として、その形を覚えてもらいたいなっていうところもあるんで、その辺は難しいところかなとは思いましたけどね」

――細かいサインは出さないつもりでいた。
「いや、あまり細かいサインっていうのは考えてないですし、自分自身もまだまだそこまで追いつかない部分もありますし、そんなに細かいところを、ここにいるメンバーに要求するところではまだないので。でも、ある程度ベンチのサイン通り動いてもらうっていうことだけはコーチの方から選手に伝えてはもらいました」

――2つの盗塁は監督の指示。
「もちろんそうです。全てベンチのサインなので『行ける時に行け』と『行っていいよ』っていう、そういうサインです」

――色々考えることがあったと。
「もうずっと目が離せないなっていう、それはわかってはいたんですけど、もっと色んなことを考えながらベンチにいないといけない。自分が思っているよりも『なるほどな』っていうこととか『あっ!』と気付かされることとか」

――それはどの場面で感じたか?
「その場面、場面が色々あるんで、それはちょっと控えますけど、カウントによってとかランナーの状況とか、攻撃の時もそうですし、守りの時もそうですし、そういったところでもベンチから指示を出していかないといけない。そのあたりは経験のあるコーチの方々に助けてもらいましたけどね」

――ウイニングボールを渡された。斉藤監督の家にはたくさんの記念ボールがあるのでは?
「いや、オレ(ボール)ないねん。何にも持ってない。オレ、物欲がないから。初勝利のボールはないことはないけど、友人の家っていうか、亡くなった友人の実家にあって、2勝目以降は次の日のキャッチボールで全部使ってるから(笑)。だから1球もボールは持っていない」

――今回のボールはどうされますか?
「どうしようかな……。全然考えていなかったから。あんまり物欲がないからね。せっかくみんなが持ってきてくれたんで、一旦ショーケースの中には置いとこうかな」

――選手もコーチも監督のことを盛り立てようという思いが伝わった?
「どうなんかね。それは4軍監督という初めての試合っていうのは、みんなわかってくれてるところはあったと思うんで。そういう意味では、わざわざこのボールを持ってきてくれたことは嬉しかったですよ。僕の中ではあんまり頭になかったんで」

――記憶に残る試合になった?
「そうですね、初めての監督業なんで。今日勝てたんで、いくら4軍であっても嬉しいですし、忘れることはないと思います」

――違った意味で野球がもっと面白くなったのでは?
「いや、考えることが多くなったなって。これを面白く思えればいいなって思いながら、ベンチにはいましたけどね。初めてのことで、初めから面白いって思うことはなかなか難しいんで。こういうことも考えなあかんねんなとか、今までそんなことを考えたことがなかったわけではないんですけどね。外から見てる時も、去年違う立場で見てる時も、ある程度こう状況で、これはこうやなっていうのを、思いながら試合は見てましたけど」

「ただ、その1歩前に思って考えて、こっちは動かないといけないですし、選手を動かさないといけない。そういった意味では判断のテンポがちょっと遅いなって自分でも思っているんで。慣れっていう言葉を僕の立場で使ってしまうとダメなんですけど、僕も勉強なんで」

――4軍の選手を育てるやりがいは色々見つかってきた?
「まだこの選手たちと数か月しか一緒にやっていないんでね。その中でも成長を感じる部分もあったりとか、頑張って今日トライしてるなって思ったり。次の試合はまた元に戻ってるなとか、そういう繰り返しの選手たちなんで、そのあたりを僕も、コーチも含めて背中を押してあげられたらなというところはあります」

――若鷹応援隊が結成された。
「選手は見られるところでプレーすると全然違いますしね。3軍、4軍というところは注目を浴びることは難しい部分もあるんで、そういったところは何か、小川(3軍)監督も含めて僕らにできることがあれば積極的に協力したい。1人でも多くの方が見に来ていただければ、選手のやる気にもなっていくと思うので、そういう気持ちの張りにも繋がってくると思うんでね。そういったところもやっていければ、と思いますけどね」

――ピッチングコーチから監督になられて、1番心がけていることは?
「間にコーチがいるっていうことですよね。ついつい声をかけてしまう時もあるんですけど、それはできる限りコーチにはこういう話をしたという風には伝えるようにはしてますし、選手が迷わないように、戸惑わないようにしないといけないなとは思うので。去年までとは違うのは、手前にコーチがいるっていう、そして今年は球団としてコーディネーター制で、そういう立場の方がいるんでね。そういったところは全く違いますね」

――板東投手の降板後にどんな会話をしていた。
「去年1年だけですけど、ずっと見続けてきたピッチャーなんで、横から見て感じたことを伝えさせてもらったというか、確認したって感じですね。そうしたら本人が思ってるところと一致したので『そのあたりじゃないかな』っていう話をしました」

(飯田航平 / Kohei Iida)