松山2軍監督も目を細め「優しいですね。そういう気遣いもできるんですね」
新助っ人が“聖人っぷり”を発揮している。今季、ホークスに加わった新助っ人のアダム・ウォーカー外野手。昨季まで巨人でプレーし、オフに高橋礼投手、泉圭輔投手との交換トレードで移籍。右の大砲として期待されている。
そんなウォーカーが待望の一発を放った。3日にタマスタ筑後で行われた春季教育リーグのオリックス戦だった。「2番・指名打者」で出場した新助っ人は初回1死で打席に立つと、オリックス先発の齋藤響介投手から左翼スタンドへ。「感触としてはすごい良かった」と納得顔だった。
1軍が北九州とPayPayドームで実戦を行った週末、ウォーカーは1軍本隊から離れて2軍の教育リーグに参加した。「この時期なんで数多く色んな投手と対戦することが大事なことだと思う。特に今回はオリックスとの対戦だったので、2軍戦でという話を1軍の監督、コーチにしてもらった。そういう意味ですごい貴重な時間というか、いい調整の時間として自分では使いました」。
1軍のオープン戦は主力の調整と、若手の競争を並行して行わなければならず、なかなか1人の選手にまとまった打席数を与えることは難しい状況にある。しかも、ウォーカーはセ・リーグから移籍してきた選手。2軍とはいえパ・リーグの、しかも3連覇中のオリックスの投手と対戦できるのは貴重な機会ということで、多く打席に立つことのできる2軍戦に出場することになった。実際に2日に5打席、3日に4打席と2日間で9打席に立つことができた。
2日の試合でも2点二塁打を放つなど、4打点をマークしたウォーカー。松山秀明2軍監督もそのバッティングに「やっぱりちょっとレベルが違うというか、本当にすごいですね。ほぼ全打席が本当に紙一重の打席なので楽しみ。これが上でこんな感じで打てれれば、もう申し分ないんじゃないですか」と大絶賛だった。
キャンプ中からその人柄に対してチーム内から絶賛の声が相次いでいた。そんな“ザ・いい人”はこの日のコメントにも滲んだ。ホームランの場面を振り返り「イヒネがああやってファウルで粘って、いっぱいボールを見られたし、タイミングをしっかり取れた。初対戦のピッチャーだったんで、チームの中での1番バッターとしていい仕事をしてくれたので、それも自分の打ったホームランの一部だと思います」と語っていた。
待望の“ホークス1号”が飛び出した打席の直前。先頭打者として打席に立ったイヒネ・イツア内野手は2球で追い込まれながらも、そこから4球ファウルで粘るなど、齋藤に9球を投げさせた。結果は三ゴロで凡退したものの、この9球、ウォーカーはしっかりと初対戦となる右腕のボールをチェックすることができた。そして初球で本塁打。イヒネへの感謝の言葉を口にするところが、なんとも憎らしい。
この発言を伝え聞いた松山2軍監督も「優しいですね。そういう気遣いもできるんですね」と微笑む。巨人時代から“ナイスガイ”として知られていたウォーカー。プレーだけでない魅力がホークスナインの心を掴み始めている。
(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)