初日から「おう」…タメ口に痛烈ツッコミ「先輩やぞ」 周東佑京の衰えない“コミュ力”の正体

ソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】
ソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】

17日に都城市内で自主トレを公開…高卒4年目の川原田純平が語る素顔とは

 野球と向き合いながら見せる真剣な顔つきとは、また違う。グラウンドを離れるからこそ、緩む表情に迫った。ソフトバンクの川原田純平内野手が語ったのは、周東佑京内野手の恐るべし“コミュ力”。宿舎での時間、軽妙なやりとりが行われているという。

 周東は17日、宮崎・都城市内で自主トレを公開した。2年連続で合同で行ったのが、川原田だ。2021年秋以降から周東との関係は深まり、同年オフ、現役時代の本多雄一2軍内野守備走塁コーチを支えたトレーナーのもとで自主トレを行なった。周東もそのトレーナーのもとで自主トレを行ったことがあり、共通点が2人に生まれた。1年後の2022年から、オフの期間を一緒に過ごすようになった。

 都城市内のホテルで宿泊し、まさに同じ釜の飯を食べながらキャンプインを目指している。シーズンとは違って、自主トレだからこそ選手の新しい一面を知ることができるこの期間。川原田にとって、改めて周東はどんな存在なのか。

「ホークスの先輩ってみんな優しいんですけど、その中でも。僕くらいの年齢でも話しかけてくれていましたし、あまり年を感じさせないというか。2つ上、3つ上くらいの感覚で話せる先輩です」

 実際は7歳年上。周東は人見知りしない性格ではあるが、分け隔てなく、人によって態度を変えないことも魅力の1つだ。グラウンド上、練習中でも笑顔が目立つ周東だが「食事とかプライベートだとそんな感じなんですけど、練習だと目つきは変わります。オンオフの切り替えの部分は参考にしないといけないと思います」と、どんな時も自分のレベルアップから目線を逸らすことはない。周東なりの姿で、後輩に背中を見せている。

 昨年に続いて巨人の松原聖弥外野手、オリックスの廣岡大志内野手も参加している。宿舎での食事の時間、常に話題の中心はこの3人だそうだ。「毎食一緒なんですけど、いつも楽しく食事しています」と雰囲気を明かす。1995年1月生まれの松原と、1996年2月生まれの周東は昨年の自主トレが初対面で、今年が2度目の合同自主トレ。周東の方が1歳年下だが「もっと仲良くなっています(笑)。タメ口で話すこともあって『おい、先輩やぞ』みたいな会話とかもあって周東さんすごいなって思います」と笑って語る。

ソフトバンク・周東佑京(右)と川原田純平【写真:竹村岳】
ソフトバンク・周東佑京(右)と川原田純平【写真:竹村岳】

 川原田は口数も多くなく、プレー中も表情に出すことはあまりない。松原と会ったのも昨年の自主トレ以来1年ぶりで「いつも初めましての感覚で話します。最初はやっぱり、1年ぶりに会ったら気まずいです」と苦笑いしながら、後輩らしい一面を明かす。少し期間が開けば、関係が“リセット”されるタイプだ。一方で「佑京さんは関係ないですね。初日からそんな感じです。『おう』みたいな」と、再会した初日だろうと、むしろ以前よりも近い距離感で松原と接していた。

 切り替え、集中力も周東のプロらしさの1つ。周東本人は自主トレのテーマを「1年間しっかり戦える体を作ることを重点的に考えながら、やっています」と話す。川原田も「全体練習が終わってからでも、毎日のようにウエートもしている。このメンバーの中では一番練習していると思います」と、野球に対する真っ直ぐな一面を誰よりも近くで見ている。「普段はふざけているというか、おちゃらけている部分もあるんですけど、練習になったら目つきが変わるというか、本当に集中してやっているので、そこは見習いたいです」と、心からリスペクトする先輩だ。

 自分自身、このオフで「2、3キロ」の増量に成功した。3食をしっかり食べるというよりは、お腹が空く前に間食を挟みながら「バナナとかゼリーとかを食べています」と明かす。1日5食、6食をこなしながらスケールアップを図ってきた。「打球の強さが変わったなというのは実感しています」と嬉しそうに話す。堅実な守備が持ち味ではあるが、2023年はウエスタン・リーグで打率.178。打力に課題があることは自身が一番わかっている。

「このままじゃ1軍に絡めない。打球速度は意識して、この自主トレはやっています。危機感を持ちながらオフシーズンをやっていかないといけないと思います。小久保監督が、1軍の下の選手でも打球速度は160キロだと言っていたので、そこには最低でも持っていかないといけない。まずは160キロを意識してやっていきたいです」

 2024年が高卒4年目のシーズンとなる。周東をはじめ、お世話になった人たちのために。人として、プロ野球選手として成長していく姿を見せていきたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)