板東湧梧の近況…田中正義が「だから好き」 意外な関係性と“深み”のある人柄

日本ハム・田中正義(左)とソフトバンク・板東湧梧【写真:荒川祐史、藤浦一都】
日本ハム・田中正義(左)とソフトバンク・板東湧梧【写真:荒川祐史、藤浦一都】

18日から都内に移動…目的はあるジム「目標にどうアプローチしたらいいのか」

 暦は12月を迎え、プロ野球はオフシーズンを迎えている。来シーズンに向けた準備、トレーニングはもちろん、勝敗を背負った緊張感から少し離れて、羽を伸ばすようなタイミングでもある。11月29日に契約更改を終えた板東湧梧投手は、12月となりどんな過ごし方をしているのか。近況を取材した。意外にも? 名前が挙がったのが日本ハムの田中正義投手だった。

 12月となり、板東は東京に向かった。「社会人の時の人の結婚式にも出たり。それに合わせてトレーニングも入れていました」と、練習とプライベートを両立させていたようだ。1月には、和田毅投手の自主トレも控えている。「(準備は)まだですね、もうちょっと時間がほしいです。ランニングよりも今はトレーニングがメインなので、もうちょっとやっておかないと」と苦笑いするが、時には心身を休ませながら時間を過ごしている。

 その中で「初めてなんですけど」と切り出したのが、都内のあるジムだ。「正義さんと、高橋礼が行っているところ。3日間だけですけど、そこのジムのトレーナーさんに見てもらって、体験します。体を見てもらって、自分の目標にどうアプローチしたらいいのか」。18日に、再び福岡から都内に移動。短い間ではあるものの、自分の体についての理解を深めることでマウンドでのパフォーマンスにつなげるつもりだ。

「正義さん」とは、日本ハムの田中正義投手のこと。昨オフ、日本ハムから海外FA権を行使した近藤健介外野手を獲得。人的補償で日本ハムに移籍すると、キャリアハイの47試合に登板して25セーブを挙げた。「仲良いですよ。こっちにいた時はよくお世話になっていました。群れるような人ではないと思いますけど、よくしてもらっていました」と板東も振り返る。意外にも思えた組み合わせだが、年齢も田中正が1歳上。ホークス時代からともに切磋琢磨してきた関係のようだ。

 2016年のドラフト会議で1位指名を受けた田中正と、2018年ドラフト4位指名だった板東。距離が縮まったのは、2019年だった。板東はシーズンを通して1軍登板なし、田中正も1軍では1試合登板と2人とも筑後で過ごす時間が長かった。「その年も一緒にいましたし(それ以降には)1軍に一緒に上がったタイミングもあったりしました。ご飯もめっちゃ連れて行ってもらいました」と笑顔で明かす。投手としての思考も、似たようなものを抱いていたそうだ。

「お互いに(マウンドで)色々考えるタイプなので、話し合ったりして、どうしたらいいのかって。いろんな本を紹介してもらって、それで気づきもたくさんありましたし。考え方が参考になります。話が合うというか」

 今季にブレークを果たしたものの、田中正も活躍までに時間もかかった。ドラフトでは5球団が競合した逸材。アマチュア時代は日本代表のユニホームにも袖を通すなど、挫折も栄光も経験してきた。「正義さんはどっちも経験されているタイプじゃないですか。プロに入ってからはめちゃくちゃ悩んだりもしていた人間ですし、深みがあるというか。だから好きなんですよね」と、心が惹かれる。

「正義さんならあれくらいならできるだろうなっていうのはありますけど、あんなに苦しんでいた正義さんも知っているので。今は敵ですけど、めちゃくちゃ嬉しかったです。また来年が楽しみだなって。(投手としても)マジですごいです。あれだけ真っ直ぐだけで勝負できる人間は本当にひと握りですよ。真っ直ぐは本当にバケモンですよ(笑)。今年もクローザーで真っ直ぐがほとんどで、意味がわからないです(笑)」

 日本ハムに移籍して以降、なかなか会えずにいるが連絡は取り合っているという。「誘ってもらったのに僕が予定があったりして」。マウンドで笑みを浮かべて、充実感が表れる表情にも「自信にみなぎっている感じがして、楽しそうですよね」と、板東にとっても喜びだった。今月18日からの3日間、その中でも1日は田中正ともジムで顔を合わせる予定だそうだ。今季は7試合に登板して1勝0敗、防御率2.45だった日本ハム戦。来季もお互いにチームの勝敗を背負って、またマウンドで再会したい。

 トレーニングを重ねて、月末には徳島に帰省する予定。時間を無駄にすることなく、心身ともに刺激をもらう。そんなオフにしてほしい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)