若手に思うこと「色々ある」 痛感したオリックスとの差…今宮健太が語るチームの課題

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

昨オフに2年契約を結び2023年が1年目 悔しさ隠さず「何もできなかった」

 明確に語ることはなかったが、思うことがあったのは確かだった。ソフトバンクの今宮健太内野手が18日、PayPayドームで契約更改交渉に臨んだ。昨オフに年俸3億円(金額は推定)プラス出来高の固定制、2年契約を結んだ。現状維持でサインをして「『怪我なくやってくれた』と言ってもらいましたけど、すごく気を遣ってくれたんだろうなと。そこまでやれた記憶はない」と悔しさが残る1年となった。今宮なりに若手に思うこと、そして痛烈に感じたオリックスとの明確な“差”とは――。

 今季は126試合に出場し打率.255、9本塁打、48打点。特例2023も含めて、数度の登録抹消を繰り返しながらも、大きな離脱はなくグラウンドに立ち続けた。「去年の悔しさと今年の悔しさはまた違う。今年は何もできなかった」と振り返る。シーズンでは3位、クライマックスシリーズでもあと一歩のところで敗れ、チームとしての課題が改めて浮き彫りになったような1年でもあった。

 契約更改は1年に1度、プロ野球選手にとっては“神聖”な場だ。来季への決意表明や、時にはプライベートの報告を会見中にする選手もいる。さまざまな角度から質問が飛ぶ中で、今宮も「今季のチーム、特に若い選手を見て思うことはありませんでしたか」と問われた。言葉を慎重に選ぶ表情からは、チームリーダーなりの思いが伝わってきた。

「色々ありましたけど、それはこの場では言わなくていいかなと。選手会長も終わったので、やめておきます」

 シーズン中、中村晃外野手も後輩たちに「言いたいことはいっぱいありますよ。言ってきたこともあります」と明かしていた。今宮も昨秋のキャンプで「見ている人に向けて、挨拶だったりとか、そういうものに関してはまだまだできていないところもたくさんあった」と姿勢の面でも苦言を呈するなど、常に後輩には目を光らせてきたつもりだった。今回の契約更改の場で明言はしなかったものの、チームとしての改善の余地もまだまだありそうだ。

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

 選手会長を2年間務め、来季からは周東佑京内野手にバトンを託すことになった。交渉に同席した三笠杉彦GMは「選手会長も務めてもらって、他の選手よりも柳田キャプテンと選手会長は、ことあるごとによくコミュニケーションを取っていましたので。そういう意味でもチーム全体を“見る”という意識が高い選手」と話す。若かりし頃から第一線で戦ってきた。今宮の存在感もリーダーシップも、球団としても高く評価している。

 優勝から3年間、遠ざかる。その間、連覇を果たしているのがオリックスだ。「去年の悔しさと今年の悔しさはまた違う。今年は何もできなかった。本当にオリックスさん、ロッテさんもそうですけど力を見せられた1年だったとすごく感じている。来年こそはそこを倒していけるように」と真っ直ぐに結果を受け入れる。グラウンドに立っていたからこそわかる、ホークスとオリックスの差はどんなものなのか。今宮なりに感じたものを明かす。

「特にオリックスさんに関しては、色々な面で普通にやっていたら勝てないと感じた部分はたくさんありました。全てにおいてレベルも高かったですし、そういったものに追いつく、追い越すのであれは個々のレベルを上げるのもそうですけど。チームのことというよりは、レベルアップさえすれば勝負できるのかなと思います。個々のレベルアップですね」

 海を渡った吉田正尚外野手の穴は、西武から加入した森友哉捕手を筆頭に全員で埋めた。また、高卒3年目の山下舜平大投手がデビューし、9勝を挙げて新人王となった。次々とイキのいい選手が現れる部分には今宮も「投手のレベルもものすごく高かったですし、野手も『また違う人が出てきた』って思う若い選手が結果を出しているのを見ると、それは強いわと感じました。そういうふうにホークスも強くなっていければ、また常勝じゃないですけど、そういうふうにチームを持っていける」と、一番のライバルが進むべき道を体現している。来季こそ必ず、覇権を奪い返してみせる。

 選手会長の肩書きを降ろすことになり「球団との話も聞きながら、相談する仕事だったので常に背筋が伸びる感じはありましたけど。来年はそこがなくなるので、本当に自分のことだけに集中して、目の前のレギュラー取りを目標に頑張っていきたい」と強調した。若い選手にも当然出てきてほしいチーム状況ではあるが、だからこそ今宮健太のリーダーシップが欠かせない。

(竹村岳 / Gaku Takemura)