「レギュラーは柳田と近藤だけ」小久保監督の言葉に心中は? 中村晃が明かす考え

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】

昨オフに2年契約を結んでおり、来季は現状維持の1億5000万円でサイン

 ソフトバンクの中村晃外野手が7日、本拠地・PayPayドームで契約更改交渉を行い、現状維持の年俸1億5000万円(金額は推定)で来季の契約を結んだ。昨オフに一定条件を満たした場合、自動的に1年契約が延長されるオプションの付いた2年契約を締結。契約延長の条件クリアは「今年は絶対に無理」と来季に持ち越されることを明かした。

 2007年の高校生ドラフト3巡目で帝京高からソフトバンクに入団し、今季がプロ16年目。“背水の覚悟”で挑んだ今季は136試合に出場し、打率.274、5本塁打37打点をマーク。さまざまな打順、ポジションで起用され、最多の62試合で打った1番や、ときに4番を任されるなど、起用法は多岐に渡った。規定打席にも到達し、一塁手でゴールデン・グラブ賞も獲得。復活を遂げたシーズンだった。

 球団との交渉を終えた中村晃は「数字的には良いとは言えないですけど、試合数も136試合に出られましたし、ここ数年ではまずまずかなと。スタメンで出られてましたし、久々に1番打たせてもらいましたし、充実したシーズンではあったと思います」とコメント。「今年ダメだったらダメだろう」と覚悟を持って臨んだシーズンを総括した。

 来季からは今季まで2軍監督だった小久保裕紀監督が指揮を執る。新指揮官は「レギュラーは柳田と近藤だけ」と明言しており、中村晃とてレギュラー争いの渦中にいる。今季もチームの中心を担った中村晃は小久保監督のこの発言をどう受け止めたのか?

「今年もそうでしたし『あ、そうですか』みたいな感じでした。別にそれが普通なんじゃないですか。絶対的な数字は残していないですから、それは当然だと思いますし、僕が監督でもそうだと思います」

 136試合に出場して打率.274の成績を残したとはいえ、自身も柳田や近藤のように“絶対的な存在”だとは思っていない。背水の覚悟は来季に向けても変わらない。「去年が終わってそのつもりで準備していたので、今年も同じようにやりたいと思います」。来季も挑戦者。ポジション争いに挑んでいくつもりでいる。

 プレーだけでなく、姿勢、背中でチームを引っ張る存在でもある中村晃。3年連続でリーグ優勝を逃し、その間にチーム内の顔ぶれも徐々に変わりつつある。

「優勝っていいもんだなっていうのを知っているのと、知らないじゃ、モチベーションも変わってくるんじゃないですかね。優勝したことのない選手はあの喜びは分からないですから」

 常勝軍団であり続けるためには“勝つ喜び”を知ることも大事。そう感じているからこそ、優勝への並々ならぬ想いは募るばかりだ。

 だからこそ、来季目指すものにはただ1つ、優勝だけを掲げる。「優勝を知らない選手も増えてきたので、優勝して喜びたいですね。オリックスが3連覇していて悔しい思いがありますし、来年優勝できるようにやっていきます」。レギュラー争いも待ち受ける2024年。中村晃は3年遠ざかっている頂点だけを見ている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)