来季に向けて打撃フォームを大幅改造「ボールの角度がつくように構えを」
6年目に向けて危機感を露わにした。ソフトバンクの野村大樹内野手は6日、PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、120万円増の年俸1070万円(金額は推定)で来季の契約を結んだ。今季は41試合に出場して打率.216、1本塁打4打点。「自分が納得できる成績ではなかったので、上げてもらえるだけありがたいと思います」と、球団からのアップ査定に感謝していた。
開幕1軍を逃してファームで迎えた2023年の開幕。5月5日に初の1軍昇格を果たすも、その後も4度、降格と昇格を繰り返した。41試合のうちスタメンは17試合だけ。代打では22試合に出場し、打率.250、1本塁打2打点だった。勝負強さが武器とされるが、今年は思うような結果を残せず「得点圏でもなかなかファンの皆さんの期待に応える成績が出せなかった」と悔やむ。
自身の弱さを痛感する1年でもあった。勝負強さの礎になるはずの積極性を見失った。「今年は弱気になる部分があった。ゲッツーを打ってしまった後とかに、またゲッツーになるんじゃないかとか思って打席に入ってしまったり、そういう自分の弱さが出てしまったり、振り返ってみたら“もったいなかったな”って思う打席があった」。ネガティブな思考を抱えたままに打席に立ったことが、成績が振るわない一因となっていた。
2月の春季キャンプまでのオフ期間は“変革の2か月”にする。「個人的に打球に角度があまりつかない、と思っていた。いい当たりが内野の正面のライナーになったり、そういうのが続く時期があったので、ちょっとボールの角度がつくように構えを変えてやってみます」。打球角度の低さを課題に感じたため、バットを寝かせて肩に担ぐ新フォームに挑む。
構えだけでなく、左足の上げ方も変える。「目線のブレが、今年ちょっと気になっていた。空振りが今年すごい多かったので」。実際、今季の空振り率は29.1%。昨季から5%近く空振りは増えている。「三振って本当に何もならない。当たりさえすれば、あとは確率が出てくる。当たらなかったらゼロなんで、そこを増やしていければ」。コンタクト率を上げるために、左足を上げない形を取り入れる。フォーム含めて、大幅な打撃改造に取り組んでいる。
来季からは2軍監督だった小久保裕紀監督が1軍で指揮を執る。野村大にとっても様々なアドバイスを貰ってきた師でもある。頭に残る助言の1つが「お前はボールに近づいて打ったら1軍にいられる。だから逃げるな」。もともと、左足をステップするときにややオープン気味に踏み出す。「オープンに出しすぎると悪くなる傾向がある。オープンにしすぎないように言われました」。今でも野村大が打撃で意識するポイントだ。
早くも6年目を迎え、巨人の戸郷や広島の小園ら同級生は各球団で主力になりつつある。「危機感もありますし、他球団の選手は活躍している。ホークスで出たいなという思いが強いので、他球団の選手にも負けないように頑張りたいなという気持ちもあります」。このオフに、1歳年上でお世話になった増田珠内野手が戦力外通告を受けた。“明日は我が身”。覚悟を持ってこのオフを過ごすつもりだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)