来年2月で28歳という若さで選手会長就任「責任感を持ってやらないといけない」
着実に遂げている成長の中身を語った。チームリーダーも驚く“発言力”だ。ソフトバンクの周東佑京内野手が、来季から選手会長を務める。来年2月に28歳を迎える若さでの就任に「責任感を持って1年間やらないといけない。1年間を通して活躍ができるように」と背筋を伸ばした。新しいリーダーの誕生に「面白いんじゃないかなと思いますよ」と語るのが、中村晃外野手だ。
ホークスの選手会長は、2010年の川崎宗則さん以降、2年周期でバトンを回してきた。中村晃が務めたのは2020年と2021年。しっかりと任期を果たして、今宮健太内野手に託した。周東へと任せる際、今宮は中村晃をはじめ、歴代の選手会長に相談したことを明かしていた。中村晃は「まあまあ、相談って相談ではないですよ」としつつも「『佑京どうですかね?』っていう。いいんじゃない? って」と背中を押したそうだ。
周東は今季、114試合に出場して打率.241、2本塁打、17打点、36盗塁。3年ぶりの盗塁王を獲得し、9・10月度の月間MVPに輝くなど、終盤戦には中心となってチームを引っ張った。体に傷を負いながらも、勝利のためにグラウンドに立つ姿からは、自覚と責任が滲んでいた。リーダーとしての素質が確かに芽生えたシーズン。周東の姿は、中村晃にはどのように見えていたのか。
「やっぱり後半かな。後半は調子が良かったのもあると思う。すごく前向きだし、自分が引っ張っていくのは見えました。良くても悪くてもやらないといけないので、そこで一番成長するんじゃないかなって思います」
引っ張ろうとする姿はしっかりと受け取っていた。一方で、リーダーたる選手は自分の調子に左右されずにチームを鼓舞し続けなければならない。そこには、少しの注文もつけた。来年2月には28歳となる。周東本人も「チームの立ち位置としても、選手としても、色々と責任感を持たないといけない」と語っていたように、プレーヤーとしてはもちろん、誰もが認めるような背中と姿勢が求められると中村晃も言う。
中村晃、今宮と実直な2人から、明るいキャラクターの周東に託された選手会長のバトン。「人それぞれ色があると思う」と周東も自分なりのスタイルを見せようとする。中村晃も「発言力あると思うんで、それはいいんじゃないですか?」と、内面も評価した。“発言力”という言葉に踏み込むと、臆することなく先輩にも意見する周東の一面を明かした。
「頭がいいのもあるし、頭の回転は早いと思いますよ。僕らが当たり前と思ってやっていたことが『それってどうなんですか?』っていうのも、あいつの中で結構あると思う。固定概念っていうのがない。面白いと思いますけどね」
チームをより良くするための選手同士の意見交換。周東とも「僕は結構話しますよ」と、今宮や中村晃にとっても、次代のリーダーの1人が周東であることをしっかりと認識して考えを交わしていた。そして笑いながら明かす。「タメ口で来る時もありますし。それは関係性ですから」。先輩を筆頭に、人の懐に飛び込んでいく愛されるキャラクター。だから、周東の選手会長就任には「面白いんじゃないかなと思いますよ。責任感も芽生えますから」と太鼓判を押した。
チームは3位に沈んだ2023年。7月23日のロッテ戦(ZOZOマリン)の後、選手だけの決起集会を提案したのが中村晃だった。当時、チームは11連敗中。なんとか雰囲気を変えようとする先輩の姿に周東は「偉大でしかないし、そう言える立場にならないといけないなって思います」と言っていた。姿勢はもちろん、結果も含めて、自分の発言に後輩がついてきてくれる。そんなリーダーに、一歩ずつ近づいていきたい。
中村晃も「基本的にはしっかりと引っ張っていくというか、チームにはいい影響を出せるように、責任感を持ってやっていくのは変わりないです」とサポートを誓った。選手会長の就任で、人前で発言する機会は何倍と多くなるだろう。誰からも愛される周東なら、オンリーワンのリーダーになれるはずだ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)