行動、発言、人を大切に…「野球だけじゃダメ」 ドラ1前田悠伍が意識する“人間力”

ソフトバンクと仮契約を結んだ前田悠伍【写真:福谷佑介】
ソフトバンクと仮契約を結んだ前田悠伍【写真:福谷佑介】

「エースというのはそういった野球以外のこともしっかりしていると思う」

 ソフトバンクは29日、大阪市内のホテルでドラフト1位で指名した前田悠伍投手(大阪桐蔭高)と仮契約を結んだ。契約金は1億円、年俸1000万円(金額はいずれも推定)で契約した高校生No.1左腕は「たくさんゼロが並んでいて驚きましたけど、驚きもありつつ、より一層やっていかないといけないという気持ちにはななりました」と表情を引き締めていた。

 仮契約後の記者会見では、強く口にした言葉があった。野球以外の私生活、行動、言動……。「野球の技術はもちろん大切になってくると思うんですけど、それ以外の私生活の面であったり、行動であったり、言動であったり、エースというのはそういった野球以外のこともしっかりしていると思う」。野球以外の面への自覚、さらなる成長を誓っていた。

“人間力”を強く意識するようになったのは、大阪桐蔭高・西谷浩一監督の教えが大きかった。「高校に入って西谷先生から『人間的成長なくして技術的進歩なし』と言っていただいて、より一層、そういう意識が強くなった。野球だけをやっていてもダメ、というのは高校生活で一番学びました」。高校時代から言動、行動には気を配ってきた。「簡単なことで言ったらゴミを拾うこと、身の回りの整理整頓、発言であったり、人を大切にすることも大事になってくると思う」。ドラフトで1位指名を受け、それまで以上に心がけるようになった。

 そういった面も踏まえて、憧れの投手にはチーム最年長投手の和田毅投手の名前を挙げる。「長年、活躍できるのは野球だけじゃないと思っているので。やっぱり人間力もないと、長年活躍はできないと思う。本当に素晴らしい目標の方が(同じチームに)おられるので、いいところを吸収しながら自分もプラスになるような行動をやっていけたらいいなと思っています」。目標とする大先輩を手本に学んでいくつもりでいる。

 もちろん浮かれることなく、プレーの面でも自身を磨いている。現在も大阪桐蔭高のグラウンドで後輩たちと汗を流す。「走ることやウエートトレーニング、そういった基礎体力の面をより充実させるようにしています。1年間戦っていかないといけないので、それなりの体力もいると思いますし、高校生と違って平日でも試合があるので、まずは体力をつけないといけないと思っているので、練習メニューに多く入れています」。1月の新人合同自主トレまで基礎体力の向上に重点的に取り組んでいく。

「今日からホークスの一員として、より一層強い自覚を持ってやっていけたらいいなと思っています。プロに入ってからも自分の強い気持ち、早く1軍に上がって活躍するっていう気持ちを持ちながら、エースになるためにやっていきたいと思ってるので、応援していただきたいと思います」とファンへのメッセージを残した前田。プレーだけじゃない。人間力も大切にする18歳がホークスの、球界のエースを目指す。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)