ソフトバンクは17日、野手が宮崎、投手が筑後で行っていた秋季キャンプを打ち上げた。フロント主導で初の分離キャンプとして実施され、米トレーニング施設「ドライブラインベースボール」の計測とフィードバック、最新鋭の打撃マシン「iPitch」による打撃練習など最先端のテクノロジーも取り入れた12日間。小久保裕紀監督のコメント全文は以下の通り。
――個々のレベルアップに関しては。
「12日の練習ぐらいじゃ、そんなレベルアップしないです。これからの残り2か月半をどう過ごすかで、変わってくるのは間違いないですね」
――宮崎は野手でしたが、筑後の投手の方はどうでしょうか。
「投手の方はある程度、開幕に合わせるピッチャーと、紅白戦のところに合わせるピッチャーと、2月1日のキャンプインに合わせるピッチャーっていうのは倉野コーチの方がもうしっかり選別してるんで。個々の課題を含めて、自分の調整で目指す時期まで伝えてますんで。しっかり全員、短い期間だったんですけども、倉野コーチの方が投手陣を把握して、それで個々に課題を与えてくれてるという状態ですね」
――iPitchやドライブラインといった最先端のものを取り入れたキャンプだった。
「数値がものを言うなっていうのを体感できましたし、我々、首脳陣もやっぱり勉強になりましたし、プラスアップデートして勉強しないといけないし、このオフにまたそこに参加する選手、計測から得た課題を克服する選手と分かれると思うんですけど、それを数値に対して、我々もアナリストに頼るだけではなくて、僕らとアナリストと選手が共通用語で喋れるというのが一番大事だと思うので。個々にコーチ陣もしっかり勉強しながらのオフになると思います」
――選手には伝えてある。
「選手のその日のやるべきことプラスやったことの振り返り、もう全部キャンプでは書かせてきてるんで、そういう点ではそれがどういう成果になるかは、やっぱ2か月半ぐらいは続けないとわからないと思うんで、それがいい方向だったかどうかっていうのはまた2月のキャンプで改めて答えが見えるところだと思いますね」
――打撃投手もして肩の具合は大丈夫でしょうか。
「張ってますけど、本来、監督はバッティングピッチャーをしたらいけないと思うんですけど、(川瀬)晃が『投げろ』って言ってきたんで受けて立ちましたけどね。結局バッティングピッチャーの方がいらっしゃって、ある程度、全体練習のところで使い切ってしまうと、残りはもうコーチ陣や投げられる人が投げればいいって考えで、足りなければ投げます」
――実際に選手に投げてみて感じたこと。
「笹川はこの前投げたときは、一番良かったんじゃないですか。僕が投げた中ではね。でも、最近は投げずに大体把握できるようなものではなくなったんで。昔は自分が投げて把握しようとしていたんですけど、もう別に今は投げなくても大体分かるんですけど、この前の笹川は良かったなと思いますね」
――笹川選手以外にも目に留まった選手は。
「投げてはいないんですけど、野村勇が去年ホームラン10本ぐらい打って、今年はあんまり出番も少なかったんですけど、ただ彼の肩と足を生かすのも、試合に出るためにはやっぱり打たないといけないんで。今回そのドライブラインの計測から彼の欠点は明らかに分かったんで、彼に関してはこの12日間でかなりその悪い癖は改善されたんですよ。それをこのオフに続けながら(2月1日に)入ってきてくれるのが楽しみかなと思います」
――キャンプの中でも美しさを求めた。
「いや、メッセージとして発しているんで、あとはもう主力選手がほとんどいないんで、本格的に2月1日から優勝に向けて始まるわけですから、その前日にはある程度共通認識として、守ってもらうルールを選手に伝えながら、我々首脳陣のルールもしっかりその前には伝えながら、やっていきたいなと思います」
――オフ、2月のキャンプに向けての思いや選手へのメッセージはありますか。
「やっぱり日本のシステム的にはこのオフに契約してしまうと、来年のオフまでは一応契約があるという中で、いかにその危機感を持ってもらうかっていうのが我々首脳陣、またフロントのテーマなんです。そういう点でも、本来は設定しなくてもいいテストとかを、アメリカと違って設定しないといけない状況にあるのが今の日本のプロ野球だと思うので、最低限そのラインはクリアしてくださいね、と」
「クリアしてこなければ、スタートラインには立てないんで、それはこのオフにしっかりやってくるように、ここにいた選手たちは、4日目にはそのテストがあるって分かってるんで、それ以外の選手には別の手段で伝えようと思いますんで、このオフをいかに過ごすか、オフの過ごし方で選手の差に繋がるっていうのは間違いないと思うんで、いいオフというかいいトレーニングを積んできてほしいですね」
――監督として初の宮崎キャンプはいかがでしたか。
「でも、2軍監督を2年間していたんで、監督という動きはあんまり変わらないです。あんまり、すんなりというか、特に何も感じることなくやりました」
――1軍の監督になって変わったことはありましたか。
「いろいろと雑用が多いなというところはありますけど、いろんな対応があるなと思いながら、野球自体は変わっていないです」
――来春キャンプで大事になること。
「今、言ったようにそこに入ってくる選手の準備が一番大事なんで。我々首脳陣も選手から見たときに矛盾がないように、やっていることと言っていることが一致するようにっていうところはしっかりやりながら、個々のコーチによって言うことが違うよねとか、そういう初歩的なミスがないように、我々首脳陣は首脳陣で足並みを揃えて、選手は選手でしっかり体を作ってくることだと思います」
――笹川選手が良くなった点は。
「スイングスピードは、もう皆さんもご承知の通り、メジャーでも通用するぐらいのスイングスピード、打球速度はありますけど、なんせ確率が悪すぎるので、その確率がフリーバッティングでは良くなったっていうだけですね。最低あのぐらい打たないと1軍では活躍できないですし、彼に関しては来年2軍でやっぱり3割3分ぐらい打たないと1軍では勝負できないと思うんで、まずは今年2割1分だった打率を1割2分ぐらい上げるという目標でやってほしいです」
――正木選手のバッティングはどう映りましたか。
「ちょっとタイミングの取り方を変えて、やっているなと思いましたけど、彼の場合は故障のところがあるんで、そこが完全にならない限りはっていうので、ウインターリーグも行くと思うんで、試合でどれだけ治ってるのかっていうのも必要でしょうし、治るだけでは駄目なんでね。強化して強くならないといけないので、バッティング以前にすることがあると思います」
――タイミングの取り方を変えて良くなった?
「もちろん良くなりました。でも練習ですからね。練習なんで、実戦でタイミングで打てれば確率は上がるでしょうけど、その実戦の場に立つためにも、まず体のメンテナンスをしっかりする必要があると思います」
――首脳陣も勉強する必要があると。小久保監督も何か学ぶオフにする。
「ずっと学んでいるものをもう少し肉付けするのと、僕の場合は細かい言葉とか、もちろんそういう野球で使うやつは把握はしますけど、そこは仕事じゃないと思っているんで。コーチを使うのが仕事です」
――オフのところで勝負。
「(ドライブラインの)計測って全員はしていないんでね。してない選手って『何で俺が選ばれてないんや』っていう、まさに危機感を目の当たりにした、球団の期待値が低いということですよね。それを理由にせずに、測っていないやつは測っていないやつなりに見とけよと思いながらやればいいでしょうし、与えられた選手は与えられたけども、数値が上がらなければ、逆に期待値が下がるっていう、チャンスはピンチでありっていうところなんで。平等はあり得ない世界なんでね。ただ、それでもやっぱり測ってない選手はクソと思ってるというのは、耳には入ってきてますしね。どっちにしても、自分の野球人生なんて、自分で責任とってやってほしいですね、このオフは」
――数値は春も測る。
「ドライブラインの計測のパターンになるかどうかわからなくて、ホークスはもうずっと数値は、もうこの3年ぐらいずっと取っているんで、比較ってのはそこで全然できます。ただ、同じマシンの設定とかも全部あるんで、だからiPitch導入のデータ収集はこの秋から始めているんで、そこはちょっと別になります。今まではアーム式マシーンの真っ直ぐだけだったんで、今度はiPitchを本格的に導入した中での数値の積み重ねはもうちょっと必要でしょうね」
――400メートル走を4日目にやる。
「ピッチャーも野手もやります。別に(スケジュールは)決めたんですけど、たまたまピッチャーも4日目みたいですね」
――主力もやる。
「はい」
――春に向けて良い印象を与えた選手はいましたか。
「いや、いないです。みんな似たり寄ったりです。来てない選手がほぼほぼ主力なんで、そこに割って入るヤツじゃないと駄目ですからね」