後輩に珍エール「筑後クソ暑い」、柳町は「飯奢る」約束も…1997年組が語るドラフトの思い出

ソフトバンク・柳町達、海野隆司、川瀬晃、谷川原健太(左から)【写真:藤浦一都、荒川祐史】
ソフトバンク・柳町達、海野隆司、川瀬晃、谷川原健太(左から)【写真:藤浦一都、荒川祐史】

 ソフトバンクは26日、都内のホテルで開催された「2023年プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で支配下7選手、育成8選手を指名しました。そこで、秋季練習に参加した選手に、ドラフト会議の思い出を聞いてみました。27日に公開した投手編に続き、今回は野手編。海野隆司捕手、谷川原健太捕手、川瀬晃内野手、柳町達外野手の1997年組の4人が登場です。育成指名ならプロ入りしていなかったかもしれないという秘話も。今年の新人に「筑後はクソ暑い」とアドバイスを送ったのは誰? 一生忘れられない思い出を、ぜひご覧ください。

ソフトバンク・海野隆司【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・海野隆司【写真:藤浦一都】

海野は「鳥肌が立ちました」、谷川原は「親とか監督が喜んでくれた」

・海野隆司捕手(東海大から2019年のドラフト会議で2位指名)
――指名された日のことは覚えていますか。
「覚えていますよ。ホークスなんや、っていう。自分の中でめちゃくちゃ意外やった印象でした」

――2位指名を予想していた。
「2位とか、そんなんじゃないですけど。あるじゃないですか、ドラフトでも自分で勝手に『この球団に行くのかな』みたいな、よく(スカウトが)見に来てくれていたとかもありますし」

――どんな感情になりましたか?
「いや、嬉しかったですよ。めちゃくちゃ嬉しかったです。涙はなかったですけど、鳥肌が立ちました」

――指名を受けた瞬間ですか?
「名前が出たところは僕、ちょうど見てなかったんですよ。テレビを見ていなくて。思いっきりぱしゃぱしゃ写真撮られて『え、呼ばれたんや』みたいな」

――そんな経緯で知ったんですね。
「写真撮られ始めて知りましたね」

――最初に感謝を伝えたのは誰でしたか。
「家族でしたね。会見場にいなかったので、LINEで。『おめでとう』って言ってくれました」

ソフトバンク・谷川原健太【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・谷川原健太【写真:藤浦一都】

・谷川原健太捕手(豊橋中央高から2015年のドラフト会議で3位指名)
――指名された日のことは覚えていますか?
「覚えています! そこを目指してやっていたので、すごく嬉しかったっていうのと、親とか監督が喜んでくれたので、その表情が忘れられないです」

――学校で会見があった。
「あ、そうです。テレビで見ていました」

――最初に喜びを伝えたのは誰でしたか?
「親とかも見ていたので。みんなで見ていたので伝えたりはしていないですけど、一緒に喜んでいました」

――ある程度、指名はされるだろうという予想はできていた。
「そうですね。大体はわかっていましたけど、何位とかまではわからなかったですけど」

――ドラフトは涙があるイメージだが、谷川原選手は泣きませんでしたか?
「泣いていないですね。基本的に笑っていました」

――入ってくる後輩たちに1つ、言葉を送るなら。
「筑後がクソ暑いっていうのを伝えていただければ(笑)」

――高校野球よりきつい。
「そうですね。でも食べ物もすごくおいしいですし、野球する施設も整っている。あとは暑さ対策だけしてくれば大丈夫だと思います」

ソフトバンク・川瀬晃【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・川瀬晃【写真:藤浦一都】

・川瀬晃内野手(大分商業高から2015年ドラフト会議で6位指名)
――指名された日のことは。
「覚えていますよ。言い方は悪いですけど、あまり期待していなかったのが正直な気持ちで。緊張していたのもありますけど、まさか支配下で選ばれるとは思いませんでした」

――それくらい際どいラインだった。
「そうです」

――どこに行くんだろう、というよりも、そもそもプロ入りできるのかという意味でもソワソワしていた。
「そうですね。そっちの方が気持ち的には大きかったです」

――支配下指名は嬉しかった。
「嬉しいというよりは、驚いた方が大きかったです。調査書も2球団しか来なかったので。球団は絞られていたんですけど。まさか支配下で……と思ったので。嬉しいというより驚きで、実感は正直沸かなかったです」

――学校で見ていた?
「そうです」

――その1年前には笠谷俊介投手のドラフトも見ていた。
「笠谷さんの時は、僕らは練習していましたね」

――自分が指名された時は、誰に喜びを伝えましたか?
「両親が学校に来てくれたので、両親に最初に伝えました」

――感情が込み上げるようなことはありませんでしたか。
「そんな感情じゃなかったです。驚きで『ええ、本当に?』って感覚だったので。それからですね、実感がわいたのは。次の日のほうが、みんなとか先生からも『おめでとう』って言ってもらえたりして。その時にやっと実感がわいた感じでした」

――指名されるかギリギリのラインでも、NPBを志望していた。
「最初はいろんな話があって、最初は大学に行くっていうあれだったんですけど。大学に行ってプロにかかる未来っていうのもわからないので。チャンスがある時に、志望届を出そうって思って」

――育成指名でもプロ入りするつもりだった?
「そこはまた悩んでいました。そこはわからなかったです、正直。育成だったら……っていう考えもありましたし、そこは待ってくれていた大学もあったので。それはその時に考えようと思っていました。(育成指名だったら)育成のまま入るか、大学に入るのかわからなかったですけど、って感じです」

――支配下の指名だったから、プロ入りを即決した。
「そうですね。育成でも、それは本当にわからないですけどね。支配下は断る理由もないので」

――5巡目指名が終わったくらいから、ソワソワし出したのではないですか?
「しかも僕の時って、機械が何かトラブルになって、結構遅くに指名されたので。21時前、20時半くらいに指名されました。だから、長くも感じましたし。上位ではないとわかっていたんですけど、その時間もずっと待機していたので」

――ドラフト会場の機材が、何かトラブルがあった?
「確かそんな感じでした。テレビも映らないし、トラブルが起こったっていう情報しか入ってこなくて。その時はめちゃくちゃ長く感じました」

――8年前ではあるが、どのようにして指名を待っていた?
「ドラフト1位しかテレビには出ないじゃないですか。だからインターネットか、あとは電話を待っていましたね」

――入ってくる新人を見ると、新鮮な気持ちになる。
「この時期になるといつも思い出しますね。当時のこととか」

――後輩に言葉を送るなら。
「とりあえず僕は、ご飯がおいしいってことを一番に伝えたいです。僕以外にもいろんなお店を知っている人がたくさんいるので、いろんな食べ物を食べてほしいなって思います」

ソフトバンク・柳町達【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・柳町達【写真:荒川祐史】

・柳町達外野手(慶大から2019年のドラフト会議で5位指名)
――3位指名で廣瀨隆太内野手が指名された。後輩の指名をどう受け止めた。
「そうですね。飯、奢ってあげないといけないなって思います(笑)」

――そこまでの面識はない。
「大学も入れ替わりなので。軽く、ご飯に1回行ったくらいの、顔合わせくらいです」

――どんなきっかけの食事だった。
「正木(智也外野手)とかと……。何かの流れで、普通にオフシーズンに行きました」

――慶大は縦のつながりが強いイメージがあるが、後輩が入ってくることは親近感がある。
「かぶっていないですけど、母校っていうだけで『どこに行くのかな』って気にはなるので。それで同じチームなので、ビックリって感じです」

――廣瀨選手は、入学時からはなんとなく知っていた?
「噂は聞いていて、すごいホームランバッターっていう。打球を飛ばすっていうのは聞いていたので。リーグ戦とかも見ていて、すごいバッターだとは思っていました」

――いつから知っていた。
「いつから……。僕がプロに入って、彼が大学生になったくらいですかね」

――今でも指名された日のことは覚えている。
「覚えています。大学の施設で待っていました」

――どんな感情でしたか。
「すごい安心したというか。ホッとした感じでした。指名されるのか、僕は微妙なラインだったので」

――柳町選手含めて、同級生4人がいた。先に同級生が指名されていく心境は、どんなものでしたか。
「すごい嬉しかったですよ。みんなが指名されていくので。プラス、いいなって思って」

――焦りはありませんでしたか。
「別にそんな。僕はまだここでは指名されないだろうなって思っていたので、焦ってはいなかったです」

――廣瀨選手との食事は、会話の内容までは覚えていないかもしれませんが、どんな印象でしたか。
「すごいいい後輩というか。話していてもしっかりして、楽しく話ができたので。軽く、『プロ目指してるの?』とか『頑張って』って話でした」

――福岡に来る後輩にアドバイスをするなら。
「特にないですけど、おいしいご飯がいっぱいあるよっていうのは教えてあげたいです」

(竹村岳 / Gaku Takemura)