「どうしてもあの12連敗っていうところが…」
鷹フルがお届けする主力選手による月イチ連載、甲斐拓也選手の「10月後編」です。3年ぶりのリーグ優勝を逃したものの、7日の楽天戦に引き分け、なんとかクライマックス・シリーズ(CS)出場を決めたホークス。ここまで戦ってきた142試合をどう感じているのか。正捕手として受け止める現実などについて語りました。
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2023年のペナントレースも残すところ、あと1試合となった。ホークスは現在2位で、3位ロッテに1ゲーム差、4位楽天とは1.5ゲーム差。3位以上は確定させ、2位でCSの本拠地開催権を得られるかどうかは、9日の今季最終戦に委ねられることになった。
3年ぶりのリーグ優勝を目指した今季だったが、結果的には3年連続優勝を果たしたオリックスに10ゲーム以上の大差をつけられて優勝を逃した。甲斐は142試合のうち138試合に出場したものの、当然「簡単なシーズンではなかったですし、思うようなシーズンではなかった。いろいろなことがあった1年だったなと思います」というのが率直な思いだ。
チーム打率はリーグ2位、チーム得点数はリーグトップと攻撃面ではリーグ屈指の数字を残した一方で、チーム防御率3.26はリーグ4位。特に先発投手の3.64は楽天の3.67に次ぐリーグ5位で苦戦の要因となった。「選手は毎日、一生懸命やって、全力を発揮してきた。そこは間違いなく言えること」。1試合1試合、必死に勝利のために力を尽くしてきたものの、捕手として投手を支えきれなかったことへの反省が募る。
苦悩の1年だった。チームとしてもなかなか歯車が噛み合わず、7月以降は2連勝が精いっぱい。10度あった3連勝のチャンスで全て敗れ、白星を積み重ねることができなかった。「僕らも考えてやっているんですけど、僕らだけじゃない部分っていうのは出てくるわけで……」。野球は相手のあるスポーツ。相手だけでなく、ベンチワークも含めて、さまざまな要素が勝敗には絡み合うだけに難しさを感じる1年だった。
やはり今でも悔やむのは7月7日から始まった泥沼の12連敗だ。それまで15あった貯金は3まで減った。首位から転がり落ち、オリックスとの差が一気に広がってV逸に繋がった。「どうしてもあの12連敗っていうところが今シーズンでは大きかったですし、悔しい試合でした」。どこかで止められたのでは……。止められていたなら、また違った展開になっていたのでは……。そんな後悔は今も拭えない。
リーグ優勝を逃しても、選手としてやることは1つしかない。応援してくれるファンのためにも、目の前にある1試合を勝ちに行くことだ。「まだCSが残っていますし、その試合次第でどうなるかっていうところがあるので」。日本一になる可能性は残された。ペナントレースで感じた悔しさも胸に、選手たちはポストシーズンへと挑む。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)