甲斐拓也がキャッチできずも「僕が悪い」 今宮健太が逆転勝ちにも募らせていた危機感

今宮の送球をそらしたソフトバンク・甲斐拓也(右)【写真:小林靖】
今宮の送球をそらしたソフトバンク・甲斐拓也(右)【写真:小林靖】

初回に先制許すエラーも、3回に試合をひっくり返す逆転の2点二塁打

 危機感が募る勝利だった。13日にベルーナドームで行われた西武戦に9-3で勝利したソフトバンク。初回に3点を先制されながらも、逆転勝ちに繋げた一戦で決勝打を放ったのは選手会長の今宮健太内野手。「ずっと大事な試合なので、もう1回チームとして引き締めてやっていきたい」。チームリーダーとして浮き彫りとなった課題に厳しい口調だった。

 まさかの形で先制を許した。初回、先発の有原航平投手が四球と二塁打で1死二、三塁のピンチを招いた。マキノンの打球は遊撃・今宮への高いバウンドのゴロとなった。ジャンプしながら打球をキャッチをし、咄嗟の判断で本塁への送球をワンバウンドに切り替えた。

「ワンバウンドの方が拓也が捕りやすいと思ったので」。だが、人工芝で跳ねた際に三塁方向にバウンドが僅かながら変わった。甲斐拓也捕手が捕球できず、ボールが転々とする間に2人の走者が生還してしまった。記録は今宮のエラーに。甲斐は今宮に「すいません」と謝ったという。甲斐が捕らなければいけないプレーだったが、今宮は「僕のエラーなんで僕が悪い」と口にした。

 だからこそ、初回のミスを帳消しにする一打が大きかった。3回、三森大貴内野手の2ランで1点差に迫ると、なおも2死二、三塁で右中間を破る2点適時二塁打。試合をひっくり返す一打となり「取り返すというよりしっかりと返すだけを意識していたので、それだけですかね」と振り返った。

 チームは西武に2連勝し、敗れた2位のロッテとの差は0.5ゲームに迫った。首位オリックスの背中は遠く、クライマックスシリーズ1stステージを本拠地で戦える2位が現実的な目標になる。4位の楽天も2.5ゲーム差につけており、残り18試合は気の抜けない戦いが続く。

 だからこそ、この日の逆転勝利も素直に喜べなかった。自身と甲斐のミスだけではない。守備で記録に残らない細かなミスが散見されたからだ。「チームが勝って良かったですけど、いろんなところで守備のミスとかをやっている。ミスがあって、しっかり逆転ができたのでプラスに捉えて、ミスなくやっていければと思います」。チームリーダーとして、思うところがあったというのが本音だった。

 8月、9月と月間打率は3割を超え、攻守でチームを引っ張っている。勝っても課題を冷静に見つめられる。厳しい戦いが続く終盤戦。今宮健太の存在が頼もしい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)