ソフトバンクは2日、敵地・ベルーナドームで西武に6-2で勝利した。先発の板東湧梧投手は初回に5安打を集められながら、バックの助けもあって1失点で切り抜けると、6回途中まで2失点と好投。打線はコンビを組んだ甲斐拓也捕手が9号2ランを放つなど、12安打で6得点を奪い、2位・ロッテとの差を4ゲームに詰めた。
嵐のような幕開けだった。近藤健介外野手の適時打で先制点を奪って迎えた初回の守り。「不安が結構強かった。ベルーナドームで初先発で、空回りしちゃった」。板東は先頭の源田を内野安打で出塁させると、ペイトンには右前打。中村を遊ゴロ併殺打に打ち取ったものの、渡部に左前適時打を浴びてあっさりと同点に追いつかれた。
さらに蛭間にも左前打。2死一、二塁で外崎にも右前打を浴びたが、右翼・柳町達外野手の好返球により、二塁走者の生還を阻止して、辛くもさらなる失点は免れた。初回だけで5安打を集中されたものの、失点はわずかに1点。運も味方して窮地を乗り切ると、本来の自分を取り戻した。
「自分が思っていたより良かったというか。意外と操れているなと思っていた。初回にラッキーな形というか、野手の皆さんのおかげで抑えてもらった。悪い感じはしなかったので、自分のピッチングをしようと思って投げました」
この日のスタメンマスクは甲斐拓也捕手だった。2登板続けて谷川原健太捕手とコンビを組んでいた板東にとって、3試合ぶりに正捕手と組んで臨んだ試合。数多くの経験を積んでいる甲斐も、立て直しへの導きをくれた1人だった。
「1人1人どういう風に攻めるかっていうのをイニングの間で具体的に話をしてくれた。『どんどん攻めていい』って言ってもらえて、強気のところを引き出してもらった。おかげさまで立ち直れたというか、自分を信じて投げることができました」
初回に5安打を集中されながら、2回は簡単に3者凡退に。3回もペイトンを四球で歩かせながら、中村を2打席連続で併殺打に仕留めた。5回に内野ゴロの間に2点目を失ったものの、大きな痛手にはならず。5回まで2失点にまとめて、最低限の先発としての役割は果たした。
惜しむらくは6回だ。2死を奪いながらも蛭間に二塁打、外崎に四球を与え、佐藤龍にも左前打を許した。2死ながら満塁のピンチを招き、ここで降板。又吉克樹投手のリリーフを仰ぐことになった。右腕が窮地を切り抜けてことなきを得たものの、試合後は「情けないの一言ですね」と悔しさが滲んだ。
6回途中8安打3四球で2失点と、粘りのピッチングで5勝目を手にした板東。「もう本当に野手の皆さんに、あの場面も、得点も含め、感謝しかないですね」。周囲への感謝に溢れた白星となった。