牧原大成が死球で3回の守備から交代…代わった周東は2打数無安打
早い展開の中で、期待を込めて送り込んだ。ソフトバンクは30日のオリックス戦(PayPayドーム)に4-8で敗れた。「5番・中堅」で出場した牧原大成内野手が死球を受けて途中交代。藤本博史監督は試合後に「病院に行ってまだ結果は聞いていない。骨に異常はないと聞いているけど」と説明した。代わって出場したのが周東佑京内野手。3回という早い展開での投入に、首脳陣が込めた意図に迫った。
先発の有原航平投手が2回を終えて6失点。いきなり大量リードを許して迎えた2回の攻撃だった。先頭打者として打席に入ると、2球目の141キロが牧原大の右手首を直撃。痛みのあまりファウルゾーンへ走り出し、ヘルメットが脱げる。右手首を抑え、苦悶の表情を浮かべた。治療を終えて走者としてプレーを続行したものの、3回の守備から周東佑京内野手と交代となった。
藤本監督は「投げられない状態だった」と、守備から交代させた経緯を語った。6点を追いかける展開となったとはいえ、まだまだ序盤。逆転を目指していく中で、ベンチが送り込んだのが周東だった。脚力こそが最大の持ち味の選手。3回という早い展開の中で、なぜ5番に入れてまで周東を送り込む選択を首脳陣はしたのか。
試合前の時点で周東は打率.176。最後に安打を記録したのは8月10日の楽天戦(PayPayドーム)だった。試合後、起用について森浩之ヘッドコーチが語る。
「柳町の今の状況、あと誰が行くんだというところを考えると。周東が(塁に)出てくれたら足で……っていうところ。5番でガンって(長打)いうのじゃなくて、そういうところに期待した。柳町の調子が良ければ間違いなく行ってもらうところやけど、ましてセンターというポジションなので。そこも考えながらです」
柳町は直近6試合で19打数1安打。8月の打率は.254だが、下降線を描き始めていることが理由だったと強調した。周東なら、塁に出れば相手にもプレッシャーをかけられるだけに「周東の奮起も促して。やっぱり頑張ってもらいたい選手の1人やし、何かきっかけを作ってもらえたらと思った。4番だったとしても周東だったと思う」と続ける。柳町にも期待をしているのは当然だが、周東の復調に期待したことも、理由の1つだった。
さらに森ヘッドコーチは、近藤健介外野手にセンターを守ってもらうプランもあったと明かす。「近藤にもセンターを守ってもらいたいっていう話もしつつ。増田(珠)をレフトにして、晃(中村)をファーストって話もしたけど、そこは我慢をして」。ホームランテラスがあるPayPayドームとはいえ、運動量も求められる中堅。試合展開も含め守備範囲も考慮すると、周東という選択になったわけだ。
「運動量も増えるし(中堅の守備面で言えば)周東がいいから。近ちゃんにゆくゆくは守ってもらうことになる可能性もあるし、マッキー(牧原大)がダメってなったらね。いろんな選択肢を考えながら、また明日からやっていきます」
牧原大は病院で受診し、打撲と診断されたという。森ヘッドコーチは「明日来て、状況を見て判断しようかという話。あのマッキーが痛がるくらいだからね。痛みがあっても『代えないでください』って言うくらいのやつだから」と明かす。牧原大は試合後、右手首にテーピングを巻いて、ドームを後にしていた。
(竹村岳 / Gaku Takemura)