3連投を解禁したその日に3連投の甲斐野が敗戦投手に…
ソフトバンクは25日、敵地・楽天モバイルパークでの楽天戦に延長戦の末に2-3でサヨナラ負けを喫した。1点リードの7回2死二塁で平凡なフライを、三塁でスタメン出場した周東佑京内野手が落球して同点とされた。延長10回には3連投となった甲斐野央投手が、辰己にサヨナラ適時二塁打を浴びた。
3回に三森大貴内野手の適時二塁打で先制。5回には甲斐拓也捕手の左前適時打で1点を加えて優位に試合を進めた。流れが変わったのは7回。6回まで無失点と好投していた石川柊太投手が浅村の中前打、島内への四球、阿部の犠打で1死二、三塁のピンチを招いた。その後、岡島の中犠飛で1点を返された。
ここでベンチは藤井皓哉投手をマウンドへと送った。右腕はボール先行となったが、3ボールからの4球目を鈴木大が打ち上げてくれた。ピンチ脱出かと思いきや、風に流されたフライを周東がキャッチできず、痛恨の適時失策。試合を振り出しに戻されてしまった。
8回を松本裕樹投手、9回を守護神のロベルト・オスナ投手が無失点に抑えて、試合は延長戦に。ここで藤本博史監督は23日、24日のロッテ戦でも登板していた甲斐野を3日連続でマウンドへ送った。その甲斐野は安打と犠打、四球で1死二、三塁とされ、辰己に左翼の頭上を越されるサヨナラ打を浴びた。
皮肉な結末だった。この日の試合前練習が始まる直前、藤本監督は外野に投手陣を集めてゲキを飛ばした。「残り35試合、一丸となって戦っていこう」。首位オリックスの背中は遠のき、2位のロッテにも負け越し。4位の楽天が背後に迫る中で、これまでは行ってこなったリリーフ陣に3連投解禁を通達したのだった。
指揮官は試合後に「今日から3連投は解禁している。3連投が問題ではない」と言い切った。ここまでの酷使で目に見えて疲労困憊となっているリリーフ陣に、総力戦を命じたその日に、3連投となった甲斐野がつかまる結末に。ブルペン担当の斎藤学投手コーチは「できれば使いたくなかったのが本音ですけど、延長戦になってしまったので。1番いいピッチャーから出すということで甲斐野だった。そこに悔いはないです」と語った。
「ツメが甘かった。見えないミスが多かったかな」と試合を振り返った藤本監督。3回1死一塁で一塁走者の今宮健太内野手がスタートを切り、甲斐が空振り。結果的に盗塁成功となったが、ヒットエンドランは失敗だった。5回1死一塁での中村晃の打席でも2球目にヒットエンドランを仕掛けてファウル。フルカウントからの7球目には最悪の三振ゲッツーとなった。
指揮官が積極的に繰り出すヒットエンドランの作戦だが、もともとギャンブル的な要素が強く、成功の確率は決して高くない。打線もベテラン岸の前に2点止まりに終わり、終盤戦にかけて勝負をかけた3連投も裏目に出た。4位の楽天とは4ゲーム差。苦しい戦いが続いている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)