“由伸撃ち”翌日に対左で先発落ち…「自分自身にも原因はある」柳町達が語った胸の内

ソフトバンク・柳町達【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・柳町達【写真:荒川祐史】

相手先発は宮城大弥 柳町は今季対戦なし、昨季が9打数無安打

 日本を代表するエースを打った翌日、スタメンを外れた胸中に迫った。ソフトバンクは17日のオリックス戦(京セラドーム)に1-2で敗戦した。序盤からチャンスを作ったものの、相手先発の宮城大弥投手に6回1失点に抑えられ、その後も得点を奪えなかった。前日16日には山本由伸投手を相手に価値ある1勝を挙げ、連勝を狙った一戦で、スタメンを外れたのが柳町達外野手だった。「自分自身にも原因はある」という真意とは。

 柳町は16日の同戦で山本から逆転の2点適時打を放っていたが、この日はベンチスタート。宮城に対しては今季は対戦がなく、昨季は4打数無安打。試合前の時点で対左投手の打率は.189と課題を残していた。さらに中村晃外野手が今季初のスタメン落ち。ここまで101試合に出場して打率.267、3本塁打、27打点。8月打率.171で、宮城に対しても9打数無安打と、試合前からベンチは動きを見せていた。

 代わってスタメンとなったのがアルフレド・デスパイネ外野手と野村大樹内野手だった。打線は初回、2番・今宮健太内野手が左中間に二塁打を放ち、続く柳田悠岐外野手の右前適時打で先制した。しかし、3回1死三塁では今宮が空振り三振、柳田が二ゴロ。4回1死二、三塁では野村大が空振り三振など、最後まで2点目のホームを踏むことはできなかった。

 試合前の時点で、宮城は対右打者被打率.222、対左打者被打率.211と大きな差はない。この数値を踏まえて、試合前の藤本博史監督は「右の方がホームランは出ているので、デスパイネを使います。今宮は(直近)3年打っているからね。三森も、柳田と近藤も打っている。晃と柳町やね、打っていないのは」と印象を強調していた。結果的にデスパイネは2打数無安打、野村大は3打数無安打。相手投手の左右を重視したオーダーは、1得点に終わった。

 柳町は左投手に苦しんでいたものの、16日には左腕の山田修義投手から中前打を放っていた。「ランナーがいなかったので、チャンスメイクしようという気持ちでした。左投手でなんとか1本出たのでよかったです」。2安打2打点で、ヒーローインタビューにも選ばれるほどの活躍。その翌日にスタメンを外された胸中を、激白した。

「やっぱり今までのチャンスで打てていなかったので、どうこう言うつもりもないですし。今までちゃんと打っていれば出られるわけで。これからチャンスがあればどんどん打って、アピールしていくしかないかなと思います。やっぱり出られないのは悔しいですけど、自分自身にも原因はあるので。自分を磨いていくしか、残る方法はないと思います」

 対左投手打率.189の内訳は、37打数7安打。8四球を選んでいるものの、13個の三振も記録しており、その内容は本人も受け止めている。対右投手には打率.286なだけに、左投手という課題さえクリアできれば「レギュラーに近づいていくんじゃないかなと思います」。対左投手とは、柳町にとって弱点であると同時に、レギュラーへの明確な道筋でもあるはずだ。

 柳町はこの日、9回2死から代打で登場。相手の守護神・平野佳寿投手の前に空振り三振に倒れ、最後の打者となってしまった。チームは18日に帰福し、西武戦(PayPayドーム)に臨む。予告先発は、右投げの平良海馬投手だ。「今日負けちゃいましたけど、まだ続くので。やるしかないです」。そう語る表情は、前だけを見ていた。確固たるレギュラーになるべく、自分自身と真っ直ぐに向き合い続けている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)