ソフトバンクは29日、本拠地PayPayドームで行われたロッテ戦に1-4で敗れた。初回に無死満塁のチャンスを作りながら得点を奪えずに終わると、先発の大関友久投手が4失点。8回まで投げたものの、味方打線の援護は内野ゴロの間の1点のみに終わった。これで今年の「鷹の祭典」は8戦全敗、昨季から続く連敗は11まで伸びた。
初回のチャンスを生かせなかったのが、最後まで響いた。先頭の中村晃外野手が左前安打で出塁すると、牧原大成外野手は中前安打。近藤健介外野手も中前安打で続き、怒涛の3連打で無死満塁の場面を作った。一気にロッテ先発のカスティーヨを攻略する好機だったが、ここからが痛恨だった。
4番の柳田悠岐外野手のバットは、右腕のチェンジアップの前に空を斬り、3球三振。5番の柳町達外野手はフルカウントまで持ち込みながら、最後は真ん中内寄りの真っ直ぐに差し込まれて最悪の二ゴロ併殺打。大量得点のチャンスを期待したスタンドのファンからは大きなため息が漏れた。
無死満塁で無得点に終わることは、野球ではままあること。とはいえ、試合の流れを見ると、痛恨だったのも事実だ。長谷川勇也打撃コーチはどう捉えていたのか。無得点の一因として指摘したのは、併殺打に終わった柳町の打席でのアプローチだった。
「もちろん、1人目のバッター(柳田)が打ってくれたら、勢いもつくんですけど、柳田は三振したので。(柳町)達はああいう場面で仕事をできるバッターになってもらわないといけないですよね。犠牲フライぐらい軽くね。難しいと思いますけど、3ボール2ストライクになった瞬間にセカンドゴロゲッツーじゃ、ちょっとどういう心境だったんだろうという感じがします」
さらに、こう続ける。
「3ボール2ストライクまでいったんだったら、何とか粘りながら、フォアボールも取れるし、粘って粘って犠牲フライぐらい打てたら最高かなというような状況。自分から決着をつけにいったっていうところはまだまだ経験の浅さが出たかなって」
あの場面で最も避けなければいけないのが併殺だった。フルカウントにまで持ち込んだのであれば、粘っての押し出し四球でも、外野フライでも先制点をチームにもたらすことができる。最低限のバッティングはできる打者になってもらいたい、というのが長谷川コーチの求めるところなのだ。
もちろん、中軸に置いたのは藤本博史監督ら首脳陣。だからこそ、長谷川コーチも「彼を5番に据えたのはこちらなので、彼に責任はない。だけど、きょうの打席っていうのをしっかり今度の同じような状況では生かしてほしい」と語る。柳町のバッティングを認めるからこそ、自身が突き詰めてきた領域を求める。
「彼の場合はああいうところで、しっかり打点を挙げられる選手になってほしいです。バットで生きていく選手はああいうところで真価が問われるので。僕も同じような気持ちでいましたし、ああいう場面で絶対、何か結果を出せるような打者にならないと、と思っていますし、そういう道を歩んでほしいと思っています」
ゲームの流れを左右した初回の攻撃だったが、長谷川コーチは選手個々の状態について「そんなに悪くないんですよね。ヒットも今日は出ていますし、繋がるか繋がらないかは、打順の巡り合わせとかもあるんで。そこは僕らがしっかり考えて上手く回るように微調整していきたい」という。打線に勢いが戻ってくるのはいつになるのだろうか。