なぜ来日初勝利のスチュワートが登録抹消なのか? 再編ローテに首脳陣が込めた意図

ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア【写真:竹村岳】
ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア【写真:竹村岳】

25日に登録抹消となった大津亮介投手の続報は…中継ぎ陣についても言及

 快投から一夜明け、リスタートを切ることになった。ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア投手が27日、出場選手登録を抹消された。26日のオリックス戦(京セラドーム)で来日5年目で待望の初勝利を掴んだばかりの米ドラフト1位右腕。ここまで5試合に先発して防御率1.57の成績を残していながら、なぜここで登録抹消となったのか。首脳陣の言葉から紐解いていく。

 26日のオリックス戦は6回1失点の快投。球数は今季自身2番目に多い102球で、チームを12連敗後の2連勝に導くピッチングだった。試合後のヒーローインタビューでも「チームも勝ちましたし、自分もやっと1勝できた。きょう連勝という形で次に繋げたので、次も頑張っていきたいと思います」と表情には充実感が溢れ、藤本博史監督も「ボール先行も多かったけど、ゲームを作れるのは成長したのかな」と評価していた。

 スチュワートにとって26日の登板は中8日で迎えたマウンドだった。その前も中6日、中11日、中9日と間隔を空けながら、ローテーションの隙間を担ってきた。この日、PayPayドームで行われた投手練習には有原航平投手はオフのため参加せず、スチュワート、和田毅投手、東浜巨投手、石川柊太投手、大関友久投手、板東湧梧投手の6人が参加した。練習を見守った斎藤学投手コーチは、スチュワートの登録抹消も含めて、ローテーションの再編について言及した。

「ジュニア(スチュワート)も含めてなんですけど、中6日でずっと回すのはきつい部分がある。なるべく状態を良くしながら回して投げていこうかな、と。もちろん柱になる人は決まっていますけど。(スチュワートは)空けると言っても、ギリギリしか空けないですけどね」

 8月の2週目からは5週連続で6連戦が組まれている。同じく登録抹消となった板東やベテランの和田について同コーチは「基本的に無理をさせないで、和田とジュニアと板東は間を空けながら、いつもそういう状態で投げられればという感じでローテを組めたら」と説明する。“ギリしか空けない”という言葉通りなら、中10日で8月6日の日本ハム戦(PayPayドーム)での登板が見込まれる。

 同コーチが語る「柱になる」投手とは大関、石川、東浜、有原を指しているのだろう。中心に据える投手を踏まえながら「1戦目、2戦目は両カードともにある程度固めていこう、と。木曜と日曜に関しては球場とか相性とか、いろんなものを引っくるめて3人か4人で回していけたらと思っています」と、柔軟に対応して乗り越えていくつもりだ。

 中継ぎ陣も整備の途中だ。26日にはリバン・モイネロ投手の左肘手術を球団が発表した。同日のオリックス戦では藤井皓哉投手がリリーフとしては今季初登板。2四球を与えながらも1回無失点に抑えた。斎藤学コーチは「大事なイニング、僅差の勝ちゲームにどんどん入っていってほしい」と期待を込める。その上で、勝ちパターンの確立とも向き合っていかないといけず、青写真をこう描く。

「モイネロがいる、いないに関わらず、先発がある程度イニングを投げてもらって、どうやってオスナに繋ぐか、が計算できるのが一番いい。ちょっとずつですけどメンツ的には揃い出しているので、あとはどういう順番で投げさせるか。左が田浦しかいないので、その辺を含めて、中継ぎも疲れさせない、間隔を空けさせないように投げていけたら」

「(勝ちパターンは)決めたいところではあるんですけど、現状はオスナだけを決めておいて。6回くらいから状態のいい、疲れていない、無理をさせないという中で回していけたら一番いいのかなと思います」

 また斎藤学コーチは25日に登録抹消となった大津亮介投手についても言及。ルーキーながらも34試合に登板してブルペンを支えてきた右腕だが「3日ほどノースローなので、その後にすぐ立ち上げられるとは思っているんですけど、若干疲れていたという見方もあった。爪の状態が治ればすぐに投げて『頑張って上がってこい』と言ってあります。無理はしません」と見通した。

 実力はもちろん、経験も体力もある選手を中心としながら、若い選手の勢いも思い切って相手にぶつけていく。休養十分のスチュワートの投球なら、そうは打たれないという信頼もあるはずだ。全員が一丸となって、逆転での優勝を見据えている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)