12連敗止めた野村勇の“寝そべり声出し” 甲斐野央からの“爆笑のバトン”は「プレッシャー」

試合前に行われた声出しの様子【写真:竹村岳】
試合前に行われた声出しの様子【写真:竹村岳】

24日のロッテ戦で甲斐野央投手が声出し 「勝ちたいから一発ギャグします」

 渾身の声出しを見せた結果、連敗は止まった。ソフトバンクは25日のオリックス戦(京セラドーム)で5-0と勝利。有原航平投手が完封、柳田悠岐外野手が2打点の活躍など、連敗は「12」でストップした。投打がガッチリと噛み合った展開の中で、試合前に“ひと肌”脱いだのが、野村勇内野手だった。チームの勝利に「よかったです」と胸をなで下ろす。

 24日のロッテ戦(ZOZOマリン)ではロベルト・オスナ投手が角中にサヨナラ2ランを浴びた。連敗ストップまであとアウト1つのところまで行ったが、頼れる守護神まで打たれてしまうショッキングな負け方だった。その日の試合前に声出しを務めたのが、甲斐野央投手。通常なら投手が務めることはほぼない声出しだが、連敗中の暗い空気を吹き飛ばすためにも、全力でナインを鼓舞した。

 結果的にロッテ戦は敗れ、25日に大阪に移動。野村勇に声出しが回ってきたのは「順番」だったという。「みなさん力んじゃっていますね! 『勝ちたい勝ちたい』って。リラックスして、リラックス!」といきなりグラウンドに寝そべると、ナインは爆笑だ。待望の連敗ストップにつながったのだから、野村勇が突き抜けて、空気を明るくしたことも大きかったのではないだろうか。

 11連敗で迎えた甲斐野は、声出しでこう言った。「僕今から一発ギャグしますけど『なんでこんな状況でふざけてるんや』とかアンチも来ますよ。そんなん気にしないです。だって勝ちたいもん! 勝ちたいから一発ギャグします!」。負けているからといって慎重になるのではなく、とにかく“ハジける”ことでチームを明るくする。野村勇も、甲斐野の言葉には「負けているからって控えめにやるよりは、そっちの方がいいんじゃないかなって思います」と同調した。

 通常なら、野手でローテーションする声出しを務めた甲斐野。11連敗となった23日の試合後に千葉市内でほとんどの選手が集まり、決起集会が行われた。甲斐野は「帰り際に冗談っぽく言われていて。『いや、僕やらないです』みたいに言っていたんですけど。(25日の)朝にギーさん(柳田悠岐外野手)、晃さん(中村晃外野手)、健太さん(今宮健太内野手)からも言われて腹くくりました」と経緯を明かす。爆笑を誘ったのだから、甲斐野の愛されようも伝わってきた。

 そんな翌日に回ってきた“バトン”。野村勇は「央ですか? めっちゃ盛り上がったので、すごくよかったと思います」と笑顔を見せるも「その後に回ってきたので、プレッシャーでした」と苦笑いだ。渾身の“寝そべり声出し”も「必死で考えましたよ。どうしようかなって、ずっと考えてました」といい、映像でその様子を確認した甲斐野も「リラックスできていたんじゃないですか(笑)」と感想を語った。

 スタメンで出場する選手はもちろん、ベンチスタートの選手も一丸となり、この夏場を乗り越えようとしている。26日のオリックス戦、続けて野村勇の番だ。右肘をつきながら寝そべると「昨日くらい冷静に、落ち着いてやれば大丈夫です。力抜いていきましょう!」。全力でナインをリラックスさせ、7-1でまた勝った。どんな時でも明るく、あきらめないホークスだから、応援したくなる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)