なぜ板東湧梧を5回81球で代えた? 首脳陣が語った早々と継投策に打って出た理由

ソフトバンク・板東湧梧【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・板東湧梧【写真:荒川祐史】

54年ぶりの11連敗を喫し、藤本監督は会見を拒否「今日はなし」

■ロッテ 4ー3 ソフトバンク(23日・ZOZOマリン)

 ソフトバンクが54年ぶりの11連敗を喫した。23日にZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ戦。3-3の同点のまま延長にもつれ込むと、10回に7番手の津森宥紀投手が安田にサヨナラ打を浴びた。15連敗を喫した1969年以来となる11連敗となり、敗戦の瞬間、藤本博史監督はベンチで呆然。「今日はいいやろ、なし」と試合後の会見を拒否して、帰りのバスへと乗り込んだ。

 奪ったリードを守れなかった。2回に栗原陵矢外野手、牧原大成内野手、三森大貴内野手の3連打で1死満塁のチャンスを作り、甲斐拓也捕手の併殺崩れの間に1点を先制した。だが、その裏、先発の板東湧梧投手が2死から山口、岡、佐藤の3連打で2点を奪われて、すぐさま逆転を許した。

 それでも、打線は6回、先頭の中村晃外野手が左前安打で出塁すると、ウイリアンス・アストゥディーヨ内野手が左翼スタンドへ起死回生の1号2ラン。今季の助っ人外国人初アーチが飛び出して逆転に成功したが、このリードもすぐに吐き出した。ベンチは6回から継投策へ。2番手の田浦文丸投手が簡単に2つのアウトを奪ったものの、2死走者でスイッチした大津亮介投手が山口に同点ソロを被び、試合を振り出しに戻された。
 
 その後もホークスベンチは決死の継投策を繰り出した。7回を甲斐野央投手、8回を松本裕樹投手がしのぐと、9回には守護神のロベルト・オスナ投手を投入。なんとか勝ち越し点を与えず、延長戦に持ち込んだものの、最後は7番手の津森が2死満塁から安田に決勝打を浴びた。必死につないだ投手リレーだったが、白星には結び付かなかった。

 先発の板東は5回まで81球だった。4安打を浴びたものの、4つの三振を奪い、2失点にまとめていた。2回に3連打で2点を失ったものの、決して投球内容は悪くなかった。それでも、藤本博史監督は6回から早々と継投策に打って出たのはなぜだったのか?

 試合後、森浩之ヘッドコーチは「今日はもう総力戦で、点を取られる前に替えていこうというプランだった。こっちの作戦なんで。5回、6回、ある程度のところからつないでいくつもりだった。球数云々じゃなく、あのまま(リードを守って)行きたかった」と明かす。斎藤学投手コーチも「決まっていたこと。(点が入って)急に決めたことじゃない」と思惑を語った。

 10連敗で迎えたこの試合、首脳陣は必勝を期してブルペンを総動員して、連敗ストップを目指した。先発投手の板東を早い回で代えてでも、失点を防いでいきたかった。そのポイントとなったのが5回だったという。逆転し、リードを奪ったからの交代ではなく、どんな状況であろうと6回からの継投は決まっていた。田浦から大津のスイッチも予定通りで、それが裏目に出た。

 攻撃面でも終盤はチグハグだった。8回に栗原が三塁手の失策で出塁。さらに相手バッテリーのミスで労せず二塁に進んだ。ここでベンチは代走に川瀬晃内野手を送った。その直後、牧原大がバントを試みて空振り。離塁の大きくなった川瀬が刺されて、もらったチャンスが消えた。延長10回にも2死二塁のチャンスを作ったものの、川瀬が一ゴロと凡退。ベンチには勝負強い柳町達外野手が残っていたものの、起用することはなかった。

「負けは負けで受け止めて、みんなで力を合わせてやるしかない。59試合あるんで、59試合しっかり戦っていくしかない」と語ったのは森ヘッドコーチ。止まらない悪循環、負の流れ。24日からは佐々木朗希投手、山本由伸投手ら難敵との対戦が続く。一刻も早く、このトンネルから抜け出したいところだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)