鷹フルがお届けする主力4選手による月イチ連載、栗原陵矢選手の「7月後編」です。今回のテーマは新加入の近藤健介外野手との関係性について。金メダルに輝いた東京五輪でチームメートとなり、仲が深まった先輩を「凄いです」と語る理由とは……。栗原選手の次回連載は8月21日(月)に掲載予定です。
ホークスは前半戦を43勝37敗2分けの貯金6、パ・リーグ3位で折り返した。最後はトンネルを抜け出せないまま、9連敗を喫した。全82試合にスタメン出場した栗原は打率.238、10本塁打43打点だった前半戦を振り返り「情けないです」と語る。
左膝前十字靭帯断裂の大怪我から復帰したシーズン。開幕直後は4試合で3本塁打と好スタートを切ったものの、そこからはなかなか打撃の調子が上がらなかった。シーズン序盤は純粋に、グラウンドでプレーできる喜びを感じていたが、結果が出なくなると、徐々に気持ちも乱れるようになった。
「初めの頃は野球ができていることに対して純粋にやれていましたけど、やっぱり結果が出ないってなり出すと、どうしても結果をっていう気持ちになってしまってる。そこが難しいところでした」。自身の気持ちと打撃面での試行錯誤を繰り返しながら、後半戦へと向かおうとしていた。
そんな栗原が「すごいです。本当にすごいです」と尊敬の眼差しを向けるのが、新たにチームに加わった近藤だ。2月のキャンプで新しいチームに溶け込めるように近藤に声をかけていたのが、東京五輪でもチームメートの栗原だった。
「僕は特別何もやってないですけどね。あれだけの、みんなが知ってるような選手なので、別に溶け込めないことは絶対ないと思いますよ」と栗原自身は言うものの、近藤は栗原の“仲介”に感謝していた。食事を共にする機会も多いといい、栗原は先輩の素顔を「めちゃくちゃお酒強いです。凄いです」といたずらっぽく語る。
7月2日の西武戦後、チームの許可のもと、関東の自宅に帰る近藤と共に、栗原は帰福するチーム本隊を離れた。「治療です。近藤さんにちょっと紹介してもらって」。昨季、手術を受けた左膝。完治しているとはいえ、日々のケアは欠かせず、当然不安もある。少しでも万全でプレーできるようにと願う栗原に治療先を紹介してくれたのが近藤だった。
そんな近藤のことを、栗原は「引き出しがすごく多いですし、何を聞いても返ってきます。前半戦なかなか打てない中でも、すごくあれだけの出塁率を残されていた。そういうところが本当にすごいなっていうのは思います」と表現する。前半戦の間でも日々、近藤に数多くのアドバイスをもらった。「教わったことが多すぎて(どれかというのは)挙げられない」と言うほどだ。
実際、その姿から学ぶべきところも多いという。通算打率3割を超える好打者だけに、栗原は「やっぱりめちゃくちゃ練習します。ヒーローになって、ヒーローインタビュー終わって、取材を受け終わってからでも、バットを持って打ちに行っていますし。そういう姿勢は見習わないといけないなというふうに思っています」と語っている。
後半戦再開初戦となった22日のロッテ戦にも敗れて、38年ぶりとなる10連敗を喫したホークス。栗原自身もなかなか上がらぬ状態にもがき苦しんでいる。“師匠”近藤にもアドバイスをもらいつつ、必死に復調しようと取り組んでいる。