NPBへの意見書提出は「考えていません」 疑惑の“ストライク判定”に球団の対応は…

ソフトバンク・近藤健介【写真:竹村岳】
ソフトバンク・近藤健介【写真:竹村岳】

三笠GMは「ストライク、ボールとか、アウトとセーフとかには考えていない」

 ソフトバンクの三笠杉彦GMが17日、前日の“ストライク判定”についての考えを示した。16日のオリックス戦(PayPayドーム)での球審の判定に対して、日本野球機構(NPB)に意見書を出すなどの具体的な対応については「考えていません」と回答した。

 16日のオリックス戦、同点の8回2死満塁だった。3ボール1ストライクから宮城大弥投手が投じた5球目を、打者の近藤健介外野手は見送った。ボールを確信して一塁に歩き出した近藤だが、判定はストライク。続く6球目で空振り三振に終わった。チームは延長10回に勝ち越されて敗戦。藤本博史監督が「ストライクだったら謝りますよ。完全なボールですから」と言い、近藤も「ボールと思って見逃している」と話すしかなかった。

 試合の勝敗に直結する判定だったことに加え、ホークスは8連敗となったのだから後味の悪さは尚更だった。気になる球団の対応は「あまり考えていません」と三笠GMはいう。少し言葉を考えた後に、こう続けた。

「審判団の方の、野球規則の適応が間違っているんじゃないかという際に意見書を出すということはありますけど、ストライク、ボールとか、アウトとセーフとかに、そういうこと(意見書を出すなど)は考えていないです」

 野球のルール上から外れているようなものならともかく、ストライクとボールの判定は審判がするものであり、人間がジャッジするもの。「日本語で言うロボット審判だとか、トラッキングシステムでの判定システムだとかありますけど、ストライク、ボールの話についてはそういう話ではない」と三笠GMは意見を話した。

 さらに三笠GMは独自の考えを続けた。米マイナーリーグの3Aではすでに今季から自動ストライクボール判定システム(ABS)が導入されている。NPBでは2018年からビデオ判定を要求できる「リクエスト」が導入された。三笠GMは競技に関わる人間の視点と、ファンの視点、どちらも尊重するべきだと話す。

「今の時代、なんでもそうですけど、どこまでを機械化するのかっていうこと。いわゆる競技者と関係者がどう考えるのかっていうことと、たくさんのお客さんに来ていただいているビジネスですから、お客さんがより面白いと思うのかという観点で、どうあるべきなのかその双方で考えて、ですね」

「アウトとセーフはどうなんだっていうけれど、リクエストを入れたわけでしょう。競技者、競技関係者として『面白い』『楽しい』と思ってやっていることと、あとは商売でやっているので、ファンの方がどういう方がいいと思うか。いろんな考えがあるし、必ずしも(審判を)人間がやるべきだというふうに思っているわけでもない」

 スポーツである以上、人間が判定するからこそ存在する面白みもあるはず。一方で、機械化で判定の正確性が増す一面もあり、そのバランスはいまだ課題である。その双方に三笠GMは理解を示しながら「まあポイントは、何が面白いかっていうことじゃないですかね」と16日の“あの判定”を受け止めていた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)