3安打を放った翌日にスタメンから外れた理由と胸中とは――。16日のオリックス戦(PayPayドーム)で延長戦の末に1-2と敗れ、泥沼の8連敗となったソフトバンク。延長10回1死から三森大貴内野手が代打で出場したが、力ない二飛に終わった。チームはそのまま反撃できずに敗戦。7月7日の楽天戦から続くトンネルを抜け出せなかった。
三森は15日の同戦で3安打。山本から2号ソロを含む2安打を放つなど、チームの2得点を1人で叩き出した。本人は打撃の状態について「迷いなく打てていると思いますし、それに結果がついてくれば」と分析する。「交流戦くらいからバッティング練習でもしっかりとした形で打てていたので、あとは試合で結果が出るか出ないか」と、状態が上向いていることは自分でも感じていた。
迎えた16日の相手先発は宮城大弥投手だった。三森の対左投手打率.182ではあるが、昨季は宮城から11打数5安打と結果を残していた。三森にとっては今季初の猛打賞を記録した翌日。先発を外れたという現実を、どう受け止めたのか。
「これが今の現状の立場じゃないですけど……。3安打を打ったから次の日も(スタメン)っていう考えも、もちろんあると思いますけど、これが今の現状の立ち位置だと思います。実際、開幕も2軍だったので。そういう結果になったのは自分の責任だと思っています。出た時にいい結果が出ればいいのかな、と。自分の責任、立ち位置なのかなって思います」
淡々とした口調で、しっかりと現状を受け止めながら話した。昨季は102試合に出場して打率.257。101安打を放ちながらも、今季はオープン戦で打率.174と苦しみ、競争に敗れた。「実際、開幕も2軍だった」と自分自身に矢印を向けて、この日の起用を受け止めていた。
では、首脳陣側の考えはどうだったのか。先発を外れた理由を森浩之ヘッドコーチに聞いた。
「それは戦略的に、です。誰かを使ったら誰かを外さないといけない。それ(対左投手というのは)は関係ない。使いたいけど、他に使いたい選手がいるから外さざるを得なかったというだけで。それに関してはこっちの戦略です」
この日、二塁でスタメン起用されたのは、右打者の野村勇内野手だった。結果論ではあるが、死球での出塁はあったものの、3打数無安打に終わった。首脳陣にとって、この日、セカンドで「使いたい選手」が野村勇だったということだろう。それに押し出される形で、三森がスタメンから外れることになった。
一方で、15日に藤本博史監督が「ブレーキになった」と表現したアルフレド・デスパイネ外野手は「5番・DH」で起用されながら、この日も3打数無安打。ファームでの実戦出場を経て、7月4日に出場選手登録されたばかりで打率.115と苦しんでいる。森ヘッドコーチは「数字を追ってしまうと、こっちも考える時期かなとは思う。監督としっかり、この先どうするのかを吟味してやっていきたい」と話す。その上で、2軍での再調整は現状では否定した。
「こうやって外国人を取って『はい、打てませんでした』『はい、2軍』って、そういうわけにはいかないところもあると思う。それが起こることで2軍の選手が(2軍戦に)出られなくなるってこともあるので。無責任なことはある程度、できないと覚悟はしている。状況がどうなるのかわからないけど、現状2軍っていうのは今はない」
首脳陣は日々、最善の形を探しており、選手はそれに応えようと準備を重ねている。三森個人にとっても、まだまだ信頼を取り戻していく途中だ。「結果を出したら出られると思いますし、出せなかったら出られない。結果が全てだと思うので、これからもっといい結果を続けていけるように」。もう1度レギュラーだけを目指して、三森は前だけを見据えながら走り続けている。