森ヘッドコーチ「モイネロがこうなったのはイレギュラー。誰も想定していなかった」
ソフトバンクが泥沼の8連敗を喫した。16日にPayPayドームで行われたオリックス戦。9回まで1-1と両軍譲らずに延長戦に突入すると、10回に松本裕樹投手がセデーニョに勝ち越しソロを被弾。打線も柳田悠岐外野手の適時打による1点にとどまり、またしても連敗を止めることができなかった。
悪い流れを断ち切ることはできなかった。この日先発の東浜巨投手は、8回までオリックス打線をわずか3安打に封じる好投を見せてチームに流れを呼び込んだ。しかし、打線も相手先発の宮城をなかなか攻略できず。8回2死満塁の好機では、近藤健介外野手が球審の“疑惑の判定”に泣かされて勝ち越しならず。延長10回に3番手の松本裕が決勝弾を浴びた。
投打の歯車が噛み合わない。8連敗のうち7試合で打線は2得点以下に終わっており、投手陣を援護できていない。連敗が始まった当初は先発陣がなかなか試合を作れず、ここ数試合は、この日の松本裕だけでなく、終盤にマウンドに上がった甲斐野央投手や津森宥紀投手といったリリーフ陣も失点。さらにリバン・モイネロ投手が左肘の手術を受けることになり、離脱期間が長期に及ぶことに。投手運用が“火の車”状態になりつつある。
そんな中で首脳陣が温めているプランとして明らかになったのが、藤井皓哉投手と森唯斗投手のリリーフ再転向。この日の試合後、森浩之ヘッドコーチは「(藤井と森の中継ぎも)当然、なきにしもあらず。モイネロがこうなったのはイレギュラー。誰も想定していなかったことなので、いろんなことを踏まえて8回(を投げる投手)探しをしないといけない」と明かした。
森はプロ入りからリリーフで7年連続50試合に登板し、通算127セーブ105ホールドをマークした元守護神。昨季途中から藤本博史監督の考えもあって先発に挑戦しているが、相次ぐ怪我もあり、今季はここまで3試合の登板で1勝1敗にとどまっている。
昨季、育成選手としてホークスに加入した藤井は開幕前に支配下に昇格すると、そのままセットアッパーに君臨。55試合に投げて5勝1敗3セーブ22ホールドをマークし、チームのMVPと評されるほどの大活躍を見せた。今季は藤井本人の希望もあって先発に挑戦。ここまで9試合に登板して5勝をマークしているものの、左脇腹の怪我で現在はファームで調整を続けており、15日にはPayPayドームを訪れて首脳陣と話し合いの場を持っていた。
2人には勝ちパターンとしての経験と実績がある。他にもリリーフがいる中で、この2人が“8回の男”の候補として浮上してきた背景として、森ヘッドは「経験値は絶対に必要。(それがない投手は)我々も不安でしかない。経験値があるから安心して送り出せるというのもある」という。「いきなり今いる他の(中継ぎの)投手がそこ(8回)にいくというのはない」と語る。
前半戦も残すところ、17日のオリックス戦を残すのみ。泥沼を脱してオールスターブレークを迎えられるか。そして、森と藤井の“再転向”は実際に行われるのか。後半戦に向けてリリーフ事情が混沌としてきている。
(竹村岳 / Gaku Takemura)