スポーツなのだから、結果は誰にもわからない。最善の準備を尽くすことだけが、勝利への道だ。ソフトバンクは15日、オリックス戦(PayPayドーム)で2-3で敗戦した。引き分けを挟まない7連敗は2008年以来、15年ぶり。7連敗中の総得点は14点で、1試合平均にすると2点だ。苦しんでいる打線の状況は、長谷川勇也打撃コーチにはどう見えているのか。
相手先発は山本由伸投手で、今季4度目の対戦だった。4回に牧原大成内野手、近藤健介外野手の連打で無死一、三塁とする。しかし柳田悠岐外野手が浅めの左飛。栗原陵矢外野手が一ゴロ、アルフレド・デスパイネ外野手が見逃し三振で無得点に終わった。9回無死一、二塁でもデスパイネが三ゴロ併殺。藤本博史監督も「デスパがブレーキというかね」と必死に受け止めるしかなかった。
3得点以上を記録したのは、7月7日の楽天戦(楽天生命パーク)の5得点が最後。以降の6試合は1得点が3試合、2得点が3試合だ。柳田や近藤、中村晃外野手ら3割前後の打率を安定して残す選手もいる中で、打線の低迷の原因はどこにあるのか。長谷川コーチに聞くと、首脳陣にとっても打開策を探しているようだ。
「わからないですね、こればっかりは。わかっていたら、どこのチームも得点できるし。思い通りにならないのが野球だからね、それは神様しか知らないので。こうした方がいいとかは思い浮かびますけど、結局はスタートのメンバーが出たらもう信頼していくしかないですから」
野球である以上、勝利か敗北の結果は出てしまう。選手が最善の準備をしてくれているのなら、首脳陣ももう信じて託すしかない。だからこそ、選手と一緒になって打開策を模索しているところであり、今こそ準備を怠らない“凡事徹底”の姿勢が大切だ。あと一歩まで追い詰めた9回の攻撃についても長谷川コーチは「仕方ないです」と言い切る。
「あの先はもうわからないです。捉えていたらOKだと思います。丸(球)と丸(バット)だから、どこに飛ぶかもわからないし。あの当たりを打って、アウトだったら、仕方ないです。あれで負けたら仕方ないです。それに至るまでの過程も、選手はちゃんとやってくれた。晃(川瀬)にしてもデスパイネにしても、甘い球を仕留めに行ったので。もう打者としてやることはやったので。そこは納得しています」
準備を怠らないシーンも、試合の中にあった。9回無死一、二塁でデスパイネを迎えた。長谷川コーチは、出番を待つ三森大貴内野手に何かを耳打ちしていた。「塁上の状況が変わった時に投手の投球モーションが変わる可能性があったので。満塁になったらクイックだったのが足を上げるっていう。どちらも頭に入れながら、あとは『前の打席と同じようにやってこい』って」と内容を明かす。結果的に三森は適時打を放ったのだから、準備が結果につながったシーンだった。
「(ベンチの雰囲気は)悪くないですよ。勝っている時は自然とワーワー言っているんですけど。そういうのはどこのチームでもできるので。うまく回らなくなった時に、元気を出してやるのが自分たちで流れを持ってこれる部分にはつながると思うので。そこはもう1つ欲しいかなとは思いますけど。でもそんな悪くないと思いますよ」
長谷川コーチの目にも当然、選手は全力でやってくれていると話す。「選手はね、自分の持ち場で役割を全力でやってくれたらいいだけなので。みんな勝ちたい、打ちたいと思ってやっていると僕は思います。とにかく自分の持ち場を全力でやってくれたら」。苦しんでいる今こそ、チームが一丸になるしかない。全力で勝利を目指しているホークスを、信じるしかない。