ファームの練習に導入された最新鋭ピッチングマシン「iPitch」
最新機器を使った練習に成長を実感している。3年目の笹川吉康外野手は最新鋭ピッチングマシン「iPitch」の活用に「変化は感じています。球も速くて、普通のマシンじゃ投げられないようなNPBの投手が投げるような変化球もあるんです。実際に人が投げている感じの球なので、試合に近い感じで打てています」と頷く。小久保裕紀2軍監督も導入以降「確実に空振りが減った」と変化を感じている。
「iPitch」とは球速や球種、回転数などのデータを入力すると、それに基づいたボールを再現できる最新のマシン。笹川は「変化球も1軍ピッチャー並みのキレのいい変化球なんで、2軍戦では見られないような変化球も、練習で見ることが出来る。試合になった時にiPitchの方がいい変化球だったりするので、あまり変化していないようにいい意味で感じるんです」という。
6月17日、18日に行ったロッテとのファーム交流戦で2試合連続マルチ安打を放ったのも「iPitch」での練習の成果だという。「今までだったら当たらなかったようなスライダーも、結構いい所に来たんですけど打てました。あまり変化してるように見えなくて。でも、動画とかで見返すと、いい変化球だったんです。自然と反応出来ていました」と振り返る。
「いい変化球になればなるほど、上から入ってくるんですよ。ブレーキがすごいので。一瞬パンって浮くんで、今までだったらそれに手が出なかったんです。iPitchで、ストレートのタイミングで入って、変化球を打つ練習をこなしてきたら、試合でも反応できるようになってきた。変化球の時に間を作れるようにというか。自ら間を作るのって難しいんですけど、これをやっていたら自然と間が出来て来たような感じです」
iPitchでの打撃練習が自身に合っていると感じる理由もある。今季取り組んでいる“チョップ打法”。バットが遠回りする癖があり、“チョップするイメージ”で最短距離でバットを出すことを意識してきた。普通のマシンと比べて「iPitch」では、バットを最短で軌道に入れないと当たらないため、その悪癖解消にも役立っている。
実際の試合でも効果は少しずつ出てきている。ただ、笹川は「悔しいんですよね、それが。1打席目にヒットを打っても、結局4打席立って、そのあと凡退ばかり。1本しか出ないですね、なかなかマルチが無くて」と嘆く。今季2軍でマルチ安打を記録したのは5回。良い結果も、続かないことにはなかなか上には上がれず、日々、練習に励んでいる。
オリックス山本由伸投手のボールを「iPitch」で再現した“仮想・山本”とも対戦。「30球ぐらい立って3球ぐらいヒット打ちました。(打率)1割です」と苦笑い。しかし、貴重な感覚を養うことが出来ているのは間違いない。小久保2軍監督が「柳田の大学3年生の時より吉康の方が上だと思いますよ。可能性ありますね」と成長ぶりには目を細める。最新鋭機器は未来の大砲にとって大きな出会いになるかもしれない。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)