4日のウエスタン阪神戦で左投手に対して左打席に立つ準備をしていた仲田
結果にこだわる“最後の1か月”に挑んでいる。支配下登録期限となる7月31日が迫る中で、ソフトバンクの育成2年目・仲田慶介外野手はあることに挑戦している。“スイッチ封印”。スイッチヒッターという自身の持ち味を一時封印し、左投手の時にも左打席に入ろうというのだ。
4日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの阪神戦。6点を追う9回、相手投手は左の鈴木勇斗だったが、仲田は左打者用のヘルメットを被り、ネクストバッターズサークルに入った。普段だったら、右打席に入るところだ。結果、前の打者で試合終了となり、打席は回ってこなかったが、プロで初めて“左対左”に挑戦するつもりだった。
野球を始めた小学生の頃は右打ち。中学から高校までは左打ちで、大学生になってスイッチヒッターに挑戦した。右投手の時には左打席に、左投手の時には右打席に立つのは、仲田の武器でもあった。中学、高校では左打ちで、積み重ねてきた練習量は左の方が多かったが、人一倍、左右両方でバットを振ってきた仲田は「右の練習量が左に追いついてきました」と語っていた。
そんな仲田が支配下登録期限まであと1か月を切った今、左打ちだけに挑もうと考えたのはなぜだろうか。仲田は「右の状態もあまり良くないですし、結果を残していかないといけない。左投手でも左打席で打てそうなイメージはちょっとあったので。スイッチにこだわらず、どっちが結果を出す確率が高いかって考えたら、左で打った方がいいのかなと思ったんです」と語る。
この日、8回の4打席目に左腕の渡邉に対し、右打席に立ったものの「やっぱり見え方とかタイミングとか全然良くなかった。なんか打てる感じがなかった」。今後も右打席の練習も続けるが、この状況では自分が結果を残せる可能性が高い方法を選択する。それはもちろん、7月末の期限を意識するから。左で打って、少しでも結果を残したいとの考えだ。
この日は4打数2安打だったが、「もう1本欲しかったです」と満足しない。「1打席目が本当に重要。今日は1打席目に打てたから、絶対3本は打ちたかったんです」と悔しがった。「それくらい打っていかないと、ちょっと厳しいので。1打席1打席、緊張していて……。絶対打ってやろうって思っています」と、毎打席、覚悟と集中力を持って挑んでいる。
「1軍の戦力になれると思われないと支配下には上がれないですし、普通に(ヒットを)1本とか打っていても別に使おうとはならないと思う」。1打席に並々ならぬ思いを込めて立っているために「ちょっとキツいっていうか……」と本音も溢れる。自ら課す重圧で、試合後は心身ともにヘトヘトになる。プレーぶりには必死さ、泥臭さが滲み出る。現状を覆すだけの結果を残すことはできるか。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)